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汗はかかないより、かいたほうがいい!



――汗をかかなければ、ミネラルの流出や、脱水症や熱中症も防げる気がします。

体温調整をしなくてもいい快適な温度や湿度の空間にいる現代の生活において、汗をかく機会は減っているのが実情。

しかし、汗腺は使われないでいると、どんどんサボって機能しなくなっていきます。稼働している汗腺が少ないと、ミネラルがダダ漏れするのを止めることができず、悪い汗になってしまうのです。

また、汗腺の動きが鈍ると、いざというときに発汗量のバランスをとることができなくなり、緊張したときなどに出がちな、ベタベタした悪い汗をかくことになります。

だから、普段から汗はできるだけかいておいたほうがいい。ただし、ミネラルがダダ漏れしていない良い汗であることが絶対条件です。

――悪い汗を良い汗に変える方法とは?

運動、ウォーキング、ヨガ、サウナ、半身浴、岩盤浴といった汗をかくことを日常的にするといいでしょう。だくだくに汗をかく必要はなく、じわっと汗がにじむくらいで大丈夫

これを「発汗トレーニング」と呼んでいます。

――寝汗をよくかくのですが、これは発汗トレーニングになりますか?

寝汗は睡眠の質を下げるので、寝ている間に「発汗トレーニングをしてしまおう!」という発想はやめたほうがいいでしょう。

ちなみに、快適な環境で寝ているのに大量の寝汗をかく場合、なんらかの内臓疾患や、自立神経失調症や更年期障害のサインという可能性も考えられますが、夜の飲酒習慣が起因している場合が多いようです。

ーーお酒が関係するんですか……

寝汗をたっぷりかけばアルコールが抜け、「朝には元通り!」と思ってしまいがちですが、寝汗が大量であればあるほど、水分とミネラルも大量に流出します。

朝起きたら脱水症と熱中症とで体を動かせない……なんてこともあり得ますので、夏の夜はとくにご注意を! 

夜に限らず、アルコールを飲むなら、同量~2倍以上の水分も摂るようにしましょう。

「悪い汗=ニオイがキツい」は間違い



 ――悪い汗だとニオイがキツくなりますか? 

実は、良い汗も悪い汗もニオイで判断することはできません。なぜなら、ニオイのもとは汗に含まれるたんぱく質だから。

たんぱく質は肌の上にある常在菌の餌になるため、量が多いと菌が多く繁殖。その菌のせいで強いニオイに変わってしまうのです。

たんぱく質を多く含むのは、手のひら、足の裏、腕、脚などに多いエクリン汗腺から出る汗よりも、わき、乳輪、陰部などに多いアポクリン汗腺から出る汗。

だから、アポクリン汗腺が発達している人はニオイが強くなりがちですし、動物性たんぱく質を多く摂っている人も汗に含まれるたんぱく質量が多いという研究結果もあるので、強いニオイになる場合があります。

汗をかくのはよいことではあるので、ニオイが気になるのであれば、マメに拭き取ったり、シャワーを浴びたりするのがオススメです。

 ――汗を大量にかく人と、あまりかかない人がいますが、これはどうでしょう?

日常的に大量に汗をかいているなら「多汗症」かもしれません。「症」と言っていますが重大な病気ではなく、汗をかきやすいという個性。汗は決して悪者ではありませんので、気になるなら薬で押さえることが可能です。

汗の量はニオイと直接的な関係はありませんが、アポクリン汗腺だけでなくエクリン汗腺から出る汗の量が増えれば、菌の餌となるたんぱく質量も増えることになるので、結果ニオイにつながることはあるかもしれません。


湿度も気温も高く、運動をしなくても発汗しまくる日本の夏は、まさに眠った汗腺を目覚めさせて良い汗が出せる体にシフトさせるベストシーズン。

脱水症や熱中症のリスクを減らすためにも、発汗トレーニングでベタベタ汗からサラサラ汗に変えていこう。



秋葉樹代子=取材・文

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