「部長びんびん“美顔・美ボディ”物語」とは…… ▶︎すべての画像を見る 「部長びんびん“美顔・美ボディ”物語」ついに完結!
部下のマリアと過ごせる時間も残りわずかだが、果たしてユースケ部長はどう動くのか!?
Day 30 TUE.
季節は夏のはずなのに……。オレの肩に悲しみが雪のように積もる
[ユースケ]Tシャツ1万2100円、手に持ったジャケット4万1800円、パンツ4万5100円/すべてポロ ラルフ ローレン(ラルフ ローレン 0120-3274-20)、靴23万1000円/ジョンロブ(ジョン ロブ ジャパン 03-6267-6010)、バッグ7万1500円/アカーテ(ビームス 六本木ヒルズ 03-5775-1623)、腕時計88万円/オメガ 03-5952-4400 [マリア]シャツ2万900円、パンツ5万9400円、肩に掛けたニット6万3800円、サンダル5万9400円、バッグ8万6900円/すべてポロ ラルフ ローレン(ラルフ ローレン 0120-3274-20)
急遽ニューヨーク行きが決まったマリアは忙しいのか、ユースケと顔を合わせることが急に減った。お祝いを兼ねて食事に誘うつもりだったのだが、なかなかチャンスがないのだ。
ただ、この日、会社の近くでランチを終えたユースケがオフィスに戻っていると、こちらへ向かってくるマリアの姿が目に入った。彼女はこっちを見て笑みを浮かべる。
今日のTシャツは鮮やかなブルーの胸ポケT。ジャストサイズのため、鍛えた胸と腕のハリが際立つが、ハートはそれ以上にパンプアップしていた。
努めてクールに「お、おう。向こうへ行く前に、今夜食事でも……」と誘う。すると、「えっ!? 部長、すいませ〜ん。明日、出発するので時間ないんです〜」とそっけない返事をして、通り過ぎていった。
「あ、明日って……」と言葉を失う。どうやらマリアの視界には最初からユースケは入っておらず、笑顔は後ろにいた同僚の女性たちに向けたものだったらしい。
Day 31 WED.
そうか、羽田だったのか。オレはどうやら“ハードラック(勘違い)とダンス”っちまったようだな……
Tシャツ1万8700円/アスペジ(トヨダトレーディング 03-5350-5567)、手に持ったジャケット5万2800円、パンツ2万6400円/ともにエイチアイピー バイ ソリード(タトラス コンセプトストア 青山店 03-3407-2700)、靴16万5000円/ジェイエムウエストン(ジェイエムウエストン 青山店 03-6805-1691)、バッグ2万900円/ブリーフィング(ブリーフィング 表参道ヒルズ店 03-6459-2448)、サングラス2万3980円/レイバン(ルックスオティカジャパン 0120-990-307)
いよいよマリアが旅立つ日。彼女と仲の良かった部署のメンバーは一緒に空港に見送りに行くらしいが、ユースケはあえてひとりで行くことにした。飛行機が発つ時間は、メンバーからばっちり聞いておいた。
こんな日にはやっぱり孤高の色である黒いTシャツがしっくりくる。「仕事のついでに寄った感」を演出すべく、鍛え上げたカラダにブラウンのセットアップを纏った。
空港へと車を走らせる。レイバンのティアドロップを掛ければ、気分はもう『トップガン』のマーヴェリック大尉だ。
が、出発時間よりずいぶんと早く空港へ着いたものの、マリアの姿どころか、部署のメンバーもひとりも見当たらない。
しばらくして、ユースケはハッと気付いた。「やっちまった。もしかしたら、成田じゃなくて、羽田だったのか……」 。当日着ていく服のことばかり考えていて、肝心の空港を確認するのを忘れていたのだ。
誰が乗っているかも知らない機影をひとり見送るユースケ。ティアドロップで見えないが、頬にはひと筋の涙が伝う。それが自分のふがいなさを嘆くものなのか、マリアへの哀惜の情なのかは誰にもわからない。