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2022.04.25

からだ

カギを握るのは腸内細菌。病気知らずの長寿高齢者の便を調べてわかった事

100歳を超えても元気な長寿高齢者の腸内に多く棲んでいるスーパー腸内フローラ「酪酸菌」とはどんな菌なのでしょうか(写真:【IWJ】Image Works Japan/ PIXTA)

100歳を超えても元気な長寿高齢者の腸内に多く棲んでいるスーパー腸内フローラ「酪酸菌」とはどんな菌なのでしょうか(写真:【IWJ】Image Works Japan/ PIXTA)


当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら

腸内細菌の善玉菌といえば「ビフィズス菌」や「乳酸菌」ですが、近年もっとも注目されているのが「酪酸菌(らくさんきん)」です。酪酸菌は、腸にとって大切な「酪酸」を作り出す腸内細菌です。最新の研究では酪酸菌ががんや糖尿病の予防、筋力アップ、花粉症の改善、さらには新型コロナの重症化予防など、さまざまな驚きの作用をもたらすことがわかってきました。

酪酸菌とはいったい何なのか。なぜ健康長寿者の腸には酪酸菌が多いのか。消化器専門医・江田証さんの新刊『すごい酪酸菌 病気になる人、ならない人の分かれ道』から一部を紹介します。

近年、さまざまな方面で話題になっている「腸内細菌」「腸内フローラ」「腸活」という言葉があります。生死に直結する心臓や脳だけでなく、腸が注目を集めてきているのです。

実はこの腸こそが私たちの健康に大きな影響を与えているのだと、だんだんわかってきました。

1000種類以上も存在する腸内細菌

日本人の腸は小腸が長さ平均6~8m、大腸が約1.5mあり、内部の総面積を計算すると、なんとテニスコート1面分に相当する広さになります。これだけのものがお腹のなかにあって、生きていくうえで大切な働きをしているのです。

そしてこの腸内の環境を左右するのが、1000種類以上、100兆個以上も存在するといわれる腸内細菌なのです。

彼らは宿主であるヒトと共生関係にあり、ヒトが毎日摂る食物の栄養素をエサにして増殖し、さらにさまざまな代謝物を生成することで、私たち人間の体に大きな影響を与えているのです。

腸内細菌は腸壁の粘膜にびっしり生息し、その総重量は約1.5kg。腸内にさまざまな種類の細菌が生息している様子を腸内フローラ(腸内細菌叢)といいます。それはまるでお花畑のようです。

この腸内フローラを正しくコントロールし、改善するのが腸活です。

世界中の研究者から近年、腸内フローラには熱い視線が送られており、研究論文の数も直近10年ほどで急激に増えています。研究者たちの努力や成果もあり、腸内細菌の理解は大きく前進しました。

私も毎日、患者さんの腸内細菌検査をしています。

そのなかで、100歳を超えても病気を持たず、たとえ病気になっても重症化せず、すぐに回復する人がいます。そのような健康長寿の人の便を調べると、ある種類の腸内細菌がたくさん見つかります。

それこそが「ミラクル腸内フローラ」である「酪酸菌(酪酸産生菌)」なのです。

「酪酸」とは、腸内細菌の「酪酸菌」が食物繊維を発酵・分解して作り出す「短鎖脂肪酸」の1種です。短鎖脂肪酸には酪酸のほかにも「酢酸(さくさん)」や「プロピオン酸」などがあり、代謝や免疫、メンタルなどの働きをサポートしています。


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