特集:ランクル・レトロスペクティブ 長年ランクルを手掛けているフレックスドリームの谷崎さんによれば、現在同社で最も人気があるレトロスタイルのランクルは、ランクル80系と、プラドの90系。
80系は「
程良くクラシカルな雰囲気がありつつ、乗用車感覚で乗れる、ベストバランスなランクル」(谷崎さん。以下カッコ内はすべて)で、90系は「
中古車の台数が安定しているから手に入りやすく、カスタムすると見た目もカッコ良くなる」のがその理由らしい。
そんな狙い目の80系と90系を、さらに深掘りしてみよう。
80系は通っぽい“引き算のカスタム”が人気!
ランクル80系。
1989年に60系の後継として登場した80系。足回りは、コアな4WDファンも納得の前後リジッド(左右輪を1本の車軸で連結する方式)サスペンション。これは60系と同じで、トラックにもよく使われるサスペンション形式だ。
乗用車が採用している独立懸架式と比べて悪路走破性が高くてタフなのが特徴で、現在でもスズキ「ジムニー」が採用しているほどだ。
「ただし、60系がリーフスプリングだったのに対し、80系はコイルスプリングを採用しました。60系はお世辞にもオンロード上での乗り心地は良いとは言えないけれど、80系は格段に良くなりました」。
同社の80系の60系風カスタマイズ例。
またインテリアデザインや快適装備も当時の高級車並み。「そのうえで60系の佇まいがありますから、やはり人気が出ますよね」。
新車時に人気だったのはあれこれてんこ盛りで装備された最上級グレードだが今は……。
「ゴージャスというより道具感が強いほうが人気。例えば最上級グレードはドアハンドルやミラーなど各部外装パーツがボディ同色だったのですが、下位グレードっぽく素っ気ないメッキパーツやブラックにペイントするほうが人気なんです」。
60系風にカスタマイズする際、同社ではヘッドライト周りだけでなく古い車ならではのプレスラインを表現するためにボンネット、フェンダーもオリジナルパーツに変えている。
同様に装着されていたオーバーフェンダーを取り外しナローボディ化とか、バンパーもメッキ、凝ったデザインのアルミホイールより鉄チン風のアルミホイールなど、道具感を出すため、同社ではあえてドレスダウンカスタムを施している。
フレックス・ドリームが80系を“ドレスダウンカスタム”した一例。
「当時はさまざまなパーツを取り付ける“足し算”がカスタムの基本でしたが、現在では余計なパーツは取り外し、飾りっ気をなくしていく、言い方を変えると低グレード化させるような“引き算”のカスタムが主流になっています。
本来のランクルに与えられた機能としての美しさ、道具感が増したツウ好みなスタイルです」。
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