[上]1万2980円/チャンピオン×ビームス(ビームス 原宿 03-3470-3947)、[中]1万7600円/19SO https://19so.shop、[下]1万6500円/ザ・ノース・フェイス パープルレーベル(ナナミカ マウンテン 03-6416-3012)
「あ〜あ〜、アレね」。と知ったかをしていたそこのキミ!
スウェットをより正しく理解し、より楽しむための用語をここでこっそりチェックしておこう。
スウェット基礎用語集
後付けパーカ(あとづけぱーか)’50年代以前の古いパーカに見受けられる、独特のディテール。元はクルーネックのトップスに、あとからフードだけを別個に取り付けている。手間とコストのかさむ手法で、後年の技術革新によるフード一体型パーカの登場に伴い消滅した。
鬼裏毛(おにうらけ)スウェット生地は表地に後述する天竺、裏地側にパイル地を使うのが一般的。5番手などの極太糸を使い、裏毛のループを大きくしたものをこう呼ぶ。
ガセット(がせっと)ネック下に付けられた三角系状のパーツ。汗止めとも呼ばれ、時代によって形も機能も違う。ちなみに日本の服飾業界では「ガゼット」と濁る読み方が一般的だが、英語での発音は[gˈʌsɪt]、ガセットとなり「セ」は濁らない。建築や工業の世界では昔から「ガセット」として通じている。
ごま塩(ごましお)一般的な霜降りと比べ、白に対し黒が強く、濃いグレーのものをこう呼ぶ。ヴィンテージスウェットで人気を集める。
染み込みプリント(しみこみぷりんと)ラバープリントが生地の上にインクがのったような質感であるのに対し、染み込みプリントは生地にインクが染み込んだ柔らかい風合いが特徴。
霜降りグレー(しもふりぐれー)別名杢グレー。まずは白綿と黒綿をブレンドし、グレーの綿を作る。その綿から糸を撚り上げ、生地を編むとまるで霜降りのように黒いサシの入ったグレーに仕上がる。
[上]1万8700円/ウエスタン ハイドロ ダイナミック リサーチ(タトラスインターナショナル 03-5708-5188)、[下]1万9800円/オリジナル チャコール × アメリカーナ(チャコール トーキョー 03-6432-5267)
ダブルフェイス(だぶるふぇいす)生地が2重になっているスウェット。ウールのセーターに負けない保温力を備える。
吊り編み(つりあみ)現在主流のシンカー編み機ではなく、’60年代まで主流だった吊り編み機による編みの手法。糸を高所から吊るしながら筒状に編み上げる際、糸をむやみに引っ張らず重力にまかせて落としていくため、ふっくらとした仕上がりに。ただし、1時間に約1mのゆっくりしたペースで編まれるため生産効率は悪い。日本のブランド、ループウィラーがフックアップしたことで再評価された。
天竺(てんじく)経糸と緯糸を交互に浮き沈みさせながら織る平編み生地のこと。スウェットにおける基本のキ。
パイル(ぱいる)俗に「裏毛」と呼ばれるもので、丸いループ状の糸が織り出してある生地のこと。天竺に比べて吸汗性も高く、さらりとしたストレスフリーな着用感を楽しむことができる。スウェットシャツの裏地のほか、タオルなどでよく見られる。海好きが好んでよく着ている!?
はめ込み式Vガセット(はめこみしきぶいがせっと)’50年代までに多く見られたスウェットの仕様。首元のスウェット生地をV字にカットし、その部分に三角形のリブ編み素材の生地を両面から貼り合わせてはめ込んだデザインを指す。横方向へよく伸びるため、着脱の際に頭の出し入れが楽。
腹巻きリブ(はらまきりぶ)裾のリブが腹巻きのように長く付けられているタイプ。’30年代前後の初期のヴィンテージスウェットに散見される。ちなみにリブとはステーキの部位ではなく横編みの一種。伸縮性があり、運動時にスウェットの袖や裾がめくれにくくするため設けられた。編み目が肋骨(リブ)のようであることからリブ編みと呼ばれるようになった。すなわち、そもそもの語源はステーキと一緒なのだ。
[上]1万7600円/アイヴィーヘイデイ ファーニッシュド バイ J.プレス & インプレストア(J.プレス&サンズ 青山 03-6805-0315)、[下]1万9800円/カリフォルニア ジェネラルストア http://california-generalstore.com
ひび割れラバー(ひびわれらばー)下で解説するラバープリントは、ものによっては経年変化でプリントが割れたり、かすれたりしてひび割れてくる。その様子がヴィンテージウェア独特のこなれた雰囲気を醸す。
フラットシーマ(ふらっとしーま)生地同士を最小限の幅で上下に重ねて4本針で平らに縫い合わせる縫製手法。ユニオンスペシャルという特殊なミシンで時間をかけて縫製される。凹凸が少ないためゴロツキがなく、着用感に優れる。
フリース(ふりーす)実はパイルの従弟のような素材で、パイル地のループ面側をブラッシングして毛羽立たせたものがフリース。すなわち、もとは同じもの。秋冬用スウェットの多くは裏面をフリース状に起毛させて、暖かな肌触りにしている。
フリーダムスリーブ(ふりーだむすりーぶ)肩から袖にかけてカーブを描くS字ラインが特徴。腕の動きがより自由になるように工夫されたことから命名された袖付けの製法。’40〜’50年に流行したものの、生産効率の悪さゆえ短命に終わった幻の袖型。そのため稀少価値も高い。
フレンチテリー(ふれんちてりー)パイル地のなかでも薄手で、ストレッチ性の高い裏毛生地をこう呼ぶ。どうしてフレンチなのか、正確なところははっきりしていない。
フロッキープリント(ふろっきーぷりんと)0.1〜0.2mmに切った繊維微粉(フロック)を生地に接着して、毛羽のような表現をかなえるプリント手法のこと。
ボクシンググローブポケット(ぼくしんぐぐろーぶぽけっと)AGスポルティング&ブロスが’30年代に考案したとされる、ハンドウォーマーポケットの仕様。名称の由来はもちろん、裾に向かって深く丸く膨らんだ円形の形状がボクシンググローブのように見えることから。
[上]1万4300円/シティーカントリーシティー https://citycountrycity-ccc.com、[下]1万6500円/セダン オールパーパス 03-5775-3383
丸胴(まるどう)吊り編み機で生地を編むと筒状になる。その生地をそのままボディに用いると、サイドに縫い目のない“丸胴”になる。着たときにサイドにゴロツキがなく、また洗濯を重ねても生地の合わせが斜めによじれる斜行が起こりにくいのが特徴。’60 年代頃までのヴィンテージにも見られる仕様だ。
目付き・目なし(めつき・めなし)チャンピオンのスウェットは、’90年代以降、無地のアイテムに対して左胸にCのロゴをワンポイントとして刺繍していた。このCの形状が目のように見えることから、目付きと呼ばれるように。対してこのロゴがないものを目なしと呼ぶ。
雪柄(ゆきがら)正式にはノルディック柄と呼ばれるデザインパターン。肩から胸上まで幾何学的な模様が入るのが一般的。北欧のスカンジナビア半島周辺で着られていたニットに用いられていた意匠で、それをスウェットに落とし込んだもの。
ラバープリント(らばーぷりんと)’70年代以降の主流になった、最も基本的なプリント手法。生地の表面にインクが貼りついているような質感になる。濃い色のボディにもくっきりとプリントできる。
両Vガセット(りょうぶいがせっと)「両V」は’30〜’50年代前半にかけてのディテールとされ、ネックの前後にガセットが付いたもの。既出した「はめ込み式Vガセット」を採用している。
ロックフード(ろっくふーど)またの名をクロスフードといい、フードの前合わせ部分が少し重なっている(クロスしている)仕様。当時のフード製法技術の都合上、このようになったとされる。
輪編みリブ(わあみりぶ)輪っか状に編み込まれたリブ。主に袖リブに採用され、袖先に切りっぱなしや縫い目がこないため、肌アタリがなくストレスフリー。ただし厚みが生じる。