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デニムもタキシードも似合う車

この車をグランドチェロキーと呼んだ記憶がない。いつだって“グラチェロ”で、自分だけじゃなくて日本全国誰もがそう呼ぶ。

で、この略し方というか縮め方は何かに似ている。グラコロ?違う。グラドル?それも違う。どうも「グラ」方向じゃないみたいだ。何に似ているのか──。

新しいグラチェロは、ちょっとレトロなフェイスで現れた。1960年代のジープ ワゴニアへのオマージュとのことで、イケメンは古風なメイクも似合うね。

乗ってみれば、ゴージャスでパワフル、しかも快適というグラチェロらしさに溢れている。高速ではどっしりと安定していて、最新の運転支援装置も備わるから、長距離運転も楽ちんだ。

まだ試していないけれど、おそらくオフロード性能もバッチリのはず。グラハイ(グランド ハイアット)の車寄せでも胸を張れる品格と、デニムが似合うカジュアルさを両立しているのが、アメリカンSUVの魅力だ。

洗練されていて、スポーツ万能で、安定感抜群で、デニムもタキシードも似合って、グラチェロと省略して呼びたくなる親しみやすさがある。

わかった!グラチェロは“松潤”に似ているのだ。そういえば来年の大河ドラマ、松本潤さんは徳川家康役で主演。古風なメイクも間違いなく似合うはずだ。

モータージャーナリスト
サトータケシ
フリーランスのライター/編集者。北京オリンピックでは何度か取材した坂本花織選手の銅メダルに涙。「親戚とは言わないけど、知人の娘さんぐらいの感覚はある」とか。

SUV隆盛にジープの次なる一手

世間の選択肢がここまでSUVメインになると裾野が広がり、そのぶん頂上は高くなる。

セダンのときがそうであったように差別化戦略も激しくなって、大型化や高級化、高性能化、に加えてヘリテージのあるブランドではデザイン的にそれを意識することが盛んとなる。

この流れには、さしもの老舗や元祖のブランドであっても決してあらがえません。

SUVの元祖というべきモデルのひとつにジープのグランドチェロキーを挙げることができますが、今回のフルモデルチェンジではかねて進めてきた上昇志向をいっそう強めてきました。

ワゴニアという歴史的なSUVを先祖に持つブランドゆえ、そのデザイン性をモダンに再解釈し、ボディサイズを大きくして流行りの3列シートモデルをラインナップに加え、内外装もはっきりとラグジュアリーに仕立ててきたのです。

日本仕様としてまず導入されたのはこの3列シートで6〜7人乗りのグレード「L」。完全にミニバンの代わり。今やSUVは“すべてをかなえる”車になりました。

面白いことにシャシーはイタリアブランド、アルファロメオのステルヴィオと共通。とは言え、忙しく走り回るのに最適、なんてこともなく、乗り味は実にアメリカン。そういう意味で期待を裏切らない大変身ではありました。

モータージャーナリスト
西川 淳
フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。


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