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ではなぜ、砂糖を取りすぎるとアレルギー症状が悪化しやすいのか。そのメカニズムについてはあまりよくわかっていない面もありますが、その1つとして、ブドウ糖を代謝する時に、ビタミンやミネラルを消費してしまうことが考えられます。

つまり、砂糖の摂取によって大切なビタミンやミネラルが奪われて欠乏を招き、健康な体を維持するのに栄養の面で圧倒的に不利になってしまうのです。

また、砂糖を取りすぎると、それを好む微生物(カンジダ菌など)が腸内で増えすぎて細菌バランスが崩れ、アレルギー反応を引き起こす可能性が考えられるだけでなく、全身のさまざまな疾患の炎症反応を悪化させてしまうこともわかっています。

砂糖が多く使われる菓子などを間食としてたくさん食べてしまうと、それだけでおなかがいっぱいになります。

その結果、本来体にとって必要なたんぱく質、ビタミン、ミネラルといった栄養素を摂取する食事がおろそかになり、日々のバランスのとれた栄養摂取という点からも大きな問題です。

最近では、ブドウ糖よりも果糖のほうが体にとって害になっているのではないかという報告も増えています。果糖が体の中で代謝され、アレルギーの炎症を悪化させる物質ができることを多くの論文が挙げていますが、これらの関係を直接的に示したものはまだありません。

フルーツジュースをたくさん飲む人に…

トウモロコシのでんぷんを加水分解して得られたブドウ糖液を、さらに甘い果糖液に変化(異性化)させた「異性化液糖(別名高フルクトース・コーンシロップ)」という液体甘味料があります。

果糖の含有率が50%以上90%未満のものを「果糖ブドウ糖液糖」、50%未満のものを「ブドウ糖果糖液糖」と呼びます。

甘味がさわやかで砂糖よりも口の中に残りにくく、低温でも甘味度が増し、低コストでつくれるため、ソフトドリンクや冷菓のほか、パン、調味料、缶詰などにも広く使われています。

パッケージにも、原材料名として表示されています。欧米でも、異性化液糖を含んだフルーツジュースなどをたくさん飲む人にアレルギー疾患が多いという報告がいくつか見受けられます。

世界保健機関(WHO)は、2015年に「成人及び児童の糖類摂取量」を発表しました。このガイドラインでは、成人および児童の1日あたりの遊離糖類摂取量を、エネルギー総摂取量の10%未満(1日50g未満)に減らすようにすすめています。

さらに5%まで減らして1日25g(ティースプーン6杯分)程度に抑えれば、健康効果はより増大するとしています。遊離糖類(free sugars)とは、単糖類(ブドウ糖・果糖等)および二糖類(砂糖、ショ糖)のことです。

また、遊離糖類の摂取量をエネルギー総摂取量の10%未満に抑えれば、肥満や過体重、虫歯のリスクを減らせる明確な証拠があるとされています(食品安全委員会ウェブサイト、『Guideline : Sugars intake for adults and children』World Health Organization 2015)。

アレルギーの発症・増悪予防という点から、砂糖をどの程度厳密に避けるべきなのか、その具体的な数字はまだ明らかになっていません。

砂糖は、さまざまな加工品に使われていて、摂取を完全にゼロにするのはむずかしいかもしれませんが、なるべく控えたほうがいいことは間違いないでしょう。


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