靴磨きこそ最大の雨対策! プロが教える梅雨に負けない革靴メンテ術
連載「愛する靴の愛し方」
お気に入りを履き潰しては買い替えて……なんてもったいない! 愛する一足を守る術をフットウェア・ラバーたちに教えてもらった。
革靴の“3大トラブル”とされる「ヒビ割れ」「シミ」「カビ臭」。これらの原因は、主に雨にあると言われている。そのため、大切な一足を守るとあれば、梅雨時期は革靴の着用を避けるべき?
しかし、靴を愛してやまない靴育て研究家・明石 優さんはこう言う。「靴をピカピカにすることで、防御できる。正しいケアをしていれば、雨の日に履いても大丈夫ですよ」。
「革靴は人間の肌のように、水分と油分のバランスを整えることが大切です。しかし、濡れた革靴が乾くときに革が持つ油分も同時に出ていくため、適切な水分と油分のバランスが崩れてしまう。シミやカビが発生したり、乾燥してヒビ割れてしまったりする原因はここにあります。でも、正しくケアをしてあげることで、飽和状態になり、革に余分な水分が入らなくなる。つまり、突然の雨にも対応する強い革靴になるんです」。
月に1度のケアが、革靴の寿命を大きく延ばす
具体的には、梅雨時期に行うべきケア方法とはどういったものなのだろうか?
ホコリと汚れを落として下準備
「まずは馬毛などの毛足が長く弾力があるブラシで、靴に付いたホコリを払います。そして綿の布に靴用の汚れ落としを少し取り、靴表面の汚れを溶かし落としましょう。表面が少しマットになり、サラッとするくらいが目安です」。
明石さんが愛用しているのは、ツヤ靴専用の汚れ落とし「レザリアン」のローションと、起毛加工された柔らかいコットンネル。布は着古したTシャツやタオルで代用可能だという。ただし、化学繊維はローションで溶ける可能性があるので避けること。
指の体温でクリームを馴染ませる
「次に、油分・水分・栄養の入った乳化性のクリームで保湿をします。ポイントは指を使うこと。体温と摩擦でクリームを溶かしながら、アッパー全体に染み込ませます。シワ部分は筋に沿って、奥まで押し込むイメージで」。
ときにはクルクルと円を描きながら、靴のカーブに合わせて塗り方を変えている明石さん。レザーの色に合わせたクリームは傷を隠し、色を深める効果もあるとのこと。
固めの豚毛ブラシでムラなくブラッシング
「塗り終えたら固めの豚毛ブラシで、指で塗ったムラがなくなるまでブラッシングをします。革が傷つくことを恐れて優しくやる人もいますが、躊躇せずにしっかりとクリームを入れ込みましょう」。
表面に残ったクリームを取り除く
「汚れ落としの工程で使った布の乾いている部分を使い、表面に残ったクリームを取り除きます。余分なクリームが残っているとゴミが付着する原因にもなるので、これも大事な作業です」。
ここまでで基本のケアは終了。乾燥していた革に油分と水分が入り、雨に強い状態へとグレードアップ! すでにツヤツヤとしているが、さらに“磨き”を加えることで、より革靴は輝きだすそう。
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