移住して良かったのは「選択的な人生」を手に入れたこと

三好さんは今、熱海に完全移住し、熱海を再生することを目的に設立された「machimori」という会社で働いている。
移住して良かったことはなんですか? そう聞くと、三好さんはまっすぐにこちらを見て「選択的な人生を手に入れたこと」と即答した。
「おいしい食べ物、温泉、仲間……。熱海に移住してよかったことはたくさんあります。そこに共通するのは自分で選んだということ。東京では満員電車に乗るしかなく、出社は朝9時と決められていた。でも、ここでは誰かではなく自分で決めることができる。その納得感が、僕にとって地方移住の魅力です」。
ただし、この生き方の“キモ”は、完全移住や都会での仕事をやめることではないと三好さんは言う。
「もっとも重要なのは、交流する人をいかに増やすかで、0か100かで決める必要はない。僕の場合、結果的に移住して地域にフルコミットしたくなりましたが、最初は小さなかかわりでもいいと思うんです。徐々にチャネルを増やしていけば、きっと人生は変化していきますよ」。
「人生を変えるために、何かを捨てる必要はない」。三好さんが自身の経験から導き出したこの言葉には、行動した者だけが持てる説得力があった。
藤野ゆり(清談社)=取材・文