まずは行動せよ、二拠点生活で手に入れた理想の働き方
富士見町へ移住後、大手メーカーの社員として働きながら「Route Design」という自身の会社を立ち上げ、2年間のダブルワークを経験した。
その後、富士見町での仕事が忙しくなり、大手メーカーを退職。現在は「Route Design」に絞って働いている。スタッフはプロジェクトごとに集まり、地元企業と持続性のある仕事を進めているほか、東京の企業からの依頼にも応えている。
まさしく追い求めていた通りの働き方である。もちろんこれは偶然手に入れたものではない。源になったのは、津田さんの行動力だ。
「『森のオフィス』の運営メンバーとの話の中によく出てくるのが、キャリア理論の『計画的偶発性』という言葉です。行動を起こしてみないと、結局どうなるかはわからない。何か面白い可能性があるなら、とにかく動いてみる。動けば発見があり、後々のキャリアにつながっていくかもしれない。実は、ほとんどのキャリアは偶然の産物なんじゃないでしょうか」。
これは地方移住を考えている人にはいいヒントになるだろう。考えてばかりで行動しなければ、結局は何も変えることはできない。
「『二拠点生活だと移動が大変でしょう?』とは、よく言われます。でも、富士見町から東京まで電車で2時間だし、それ以上に二拠点を往き来するのは僕にとってすごく価値のあること。行動を起こしたことで、仕事の幅が格段に広がりました」。
「森のオフィス」の登録者数は300人を超え、年間会員の常連も増えた。取材で訪れた日も、東京から来た会員が抜群のロケーションのなかで作業をしていた。彼らもまた、都会と富士見町を行き来する二拠点生活者なのである。
津田さんは今、隣町の富士見高原に大きなブックカフェを作ることを計画している。当面の目標は、富士見町や長野に人が集まる拠点を増やすこと。津田さんの二拠点生活は、まだ始まったばかりだ。
藤野ゆり(清談社)=取材・文
【関連リンク】森のオフィスwww.morino-office.com/ ブックカフェ「K」https://motion-gallery.net/projects/cafe_k