練習することによる技術向上の歓び。ほかのことを考えずに音楽に集中する時間。仕事や家庭のルーティンで悩みや疲れが慢性的に溜まっている30代後半~40代には、是が非でも欲しい体験だ。
そしてタップダンスは、やはり「表現」だ。表現であるということはつまり、伝えるための発表する機会があり、それが続けるモチベーションにもなるという。
「このスタジオの近くで、年に1、2回ほど生徒さんも出演するライブを開催します。同じくらいのレベルの人たちが集まって振付や課題に取り組むのですが、毎回約60~70人の生徒さんが参加しますね。そこにはキッズも出演します。毎回、お客さんも含めるとぎゅうぎゅうで(笑)。非常に熱気のあるステージになりますよ」(米澤さん)。
しかし、タップダンスをするにあたり、専用の靴やタップする板が必要になる。のめり込んだとしても、スタジオ以外で披露する場も少ない。レッスンやライブ以外にタップを楽しむ機会は作れるのだろうか?
「週末の朝は、タップダンスの自主練習会を開催しています。もっと練習をしたいという生徒さんたちが集まって、スタジオをシェアして練習に取り組んでいるんです。声をかけあってステップを見せあう方や、ひとりで黙々とやられている方など、取り組み方はそれぞれです。最近だと、即興をできるようになりたいという人が、レッスン終わりに『みんなでセッションしませんか?』と周囲に声をかけて、即興で踊るというコミュニケーションがあったそうです」(米澤さん)。
タップダンスの世界は奥が深い。ゆえに、その世界に魅了された人同士が集えば、新たなコミュニティも生まれるというわけだ。一般的なスクールだと年齢的に偏りそうだが、タップダンスなら世代や性別を超えて仲間ができる。30代後半以降にもなると、そんな機会はそうそうない。
中目黒でタップダンス、というだけでなんだか響きがいい。仕事帰りや休日にカズ タップ スタジオへ立ち寄ってタップを嗜むというのは、すぐにでも実現可能な生活ではないだろうか。
ちょうど8月には、タップダンスビギナーでも参加しやすいイベントが開催。熊谷さんに直接タップダンスを教えてもらうことができるワークショップや、熊谷さんを始め、カズ タップ スタジオの講師や生徒が一堂に会するライブも行われるので、まずは手始めにこれらのイベントに足を運んでみては。
また、もし東京近郊に住んでいなくとも、熊谷さんの地元・仙台にてカズ タップ スタジオの講師たちによるレッスン「TAP the FUTURE in SENDAI」が週1回行われている。東北エリアの方も今すぐ始められるので、興味のある方はぜひホームページをチェックしてほしい。
金額といい、システムといい、オーシャンズ世代でも気軽に始めやすいタップダンス。ふらっとやってきてステップを鳴らせば、とたんにタップダンスの世界にのめり込みそうである。
【取材協力】KAZ TAP STUDIO(カズ タップ スタジオ)住所:東京都目黒区上目黒1-5-10 中目黒マンションB1−10電話:03-6906-6076http://kaztapstudio.com/>「37.5歳から始める、タップダンス」を最初から読む 小島マサヒロ=写真 島崎昭光=取材・文