ビジネスで使うバックパック。 アリとナシの境界線はどこ?
働く男の夏対策●これからの季節、働く男にとって強敵なのが、毎日上昇していく不快指数。体のジメジメも、ときには人間関係のジメジメも御免被りたい貴方のために、夏の仕事をサラサラにするアレコレを紹介する。
いまやビジネススタイルでも、バックパックを活用することは当たり前になっている。実際に背負ってみると、両手が自由になるし、重い荷物を持ち歩く際にも、片手で持つトートバッグやブリーフケースより圧倒的にラクだ。
軽装になる夏は特に、重厚なレザーバッグというよりは、軽やかに扱えるバックパックを活用したいところ。
しかしアウトドアで使うようなデザインはさすがに気が引ける。では、どんなものが理想なのか?
そんな悩める貴方の疑問を、ビジネススタイルを熟知するエキスパート、山本晃弘さんにぶつけて聞いてみた。
Q.「ビジネスで使うバックパックは、何を基準に選ぶべき?」
——そもそもバックパックをビジネスシーンで使うのは、OKなのでしょうか? 山本 基本的には、バックパックはビジネスシーンには不向きです。、自分もかつてはスーツにバックパックはNGだと言っていましたが、今はもう、そういう時代ではないんですね。実際にリサーチをしてみたら、ビジネスマンもかなりの高確率でバックパックを使っていることがわかりました。
ある日、オフィス街を歩いていて、何げなくすれ違った人のバッグをチェックしていたら、平均して6秒に1人、バックパックを持ったビジネスマンがいたんですよ(笑)。
——なるほど、ではもはやバックパックはアリだとして、どんなものを選ぶべきなのでしょうか? 山本 通勤時にはバックパックとして背負えたとしても、クライアントに会うときはブリーフケースのように持てる、2-WAYや3-WAYがいいですね。
——素材はどういったものがよろしいのでしょう? 山本 レザー素材は重いので、軽いもののほうがいいと思います。ナイロンやツイル、そういった一般的なもので構いませんが、あまりにも軽くて薄いものになると、中にデジタルデバイスを入れたときに不安ですから、それは避けたいですね。ただ、薄くてもPC用のカバーやスリーブが内蔵されているものはアリです。
——なるほど。では、形はどんなものがいいですか? 山本 端的に言えば、四角いものですね。ブリーフケースのような形です。アウトドアで使うバックパックのような形は避けるべきです。
例えば……「ポーター」の3-WAYブリーフケース 使いやすいバッグといえば、ポーターの「タンカー」シリーズ。米空軍のフライトジャケットMA-1をモチーフに、オリジナルのボンディングナイロンツイルで仕上げたボディはとにかく軽い。
3-WAYのブリーフケースは、簡単にバックパックにもなるロングセラー。
例えば……「トゥミ」のハリソン スリム・コンバーチブル・ブリーフ 出張時にトロリーの上にもスマートに装着できるスリム型3-WAY。キルティング加工を施したコンパートメントを内蔵しているから、PCの持ち運びも安心だ。
——やはり人から見て、違和感があるものは避けるべきであると。 山本 そうです。ビジネススタイルはやはり、常に他者の目線を気にして頂きたい。例えば電車に乗ったとき、車内が混雑している場合のマナーだとしても、バックパックを体の前に抱っこ紐の赤ちゃんのように抱えるのは格好良くありませんね。トートバッグのように持ったり、小脇に抱えたりと、スマートに持ちたいものです。
[話を聞いた人]山本晃弘(やまもと てるひろ)さんいくつものメンズ雑誌の編集を経て、2008年に編集長としてアエラスタイルマガジンを創刊。2019年に独立し、自身の会社”ヤマモトカンパニー”で活動しながら、同誌のエグゼクティブエディター兼 WEB編集長も務める。着こなしルールやビジネスマナーはもちろん、服飾史にも精通したご意見番。
https://asm.asahi.com 高橋絵里奈=写真 長谷川茂雄=編集・文