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Tシャツの多様性は、先人が築いた価値観だけでは計れない




ーヤバイ。見たことあるようなTシャツが一枚もない。

三好 でしょうね(笑)。古着業界で先人たちが作り上げてきた「こういうTシャツは貴重だよ」という価値観ってありますよね。そのレールの上でみんなあれこれ話をしているけれど、俺はそれだけじゃ面白くないなと。もちろん俺もその手のTシャツはたくさん持っているけれど、同じように珍しくて、格好いいTシャツはいっぱいある。その多様性が魅力なんですよ、Tシャツは。

ーそもそも三好さんは、なんでTシャツにハマったんですか?

三好 ヴィンテージブーム全盛の学生時代、リーバイスのビッグEなんかが20〜30万の値が付いていたんです。これをアメリカで手に入れてきたら……と思ってアメリカに渡って、スリフトショップや小さな店をシラミツブシに探しながらあちこち走り回ったんです。でも、なんにも見つからない。どうやらアメリカのバイヤーたちが買い漁ったあとだったんです。店内をよく見りゃ「WE BUY OLD LEVI’S、LEE、WRANGLER」って書いてあるし。

ーそれがどうTシャツにつながるんですか?

三好 で、「何だよっ!」と思っていろいろ見てたら、こういうTシャツがめちゃくちゃある。当時からTシャツは好きでいろいろ買ってましたけど、こういうワケがわからないグラフィックのTシャツは持ってなくて、しかも大半が3ドル以下。「これ、格好いいじゃん!」と思って。それがキッカケでしたね。

 

パティ・スミスも、ジャック・ジョンソンも反応したTシャツ世界


ーウケる確信はあった?



三好 「それいいね!」という人はほとんどいませんでした。

ー一般ウケは確かに難しそう……。

三好 でも、ミュージシャンには突っ込まれましたね。「ハローテキサス」を始める前に某音楽誌の編集兼カメラマンをやっていたんですけど、ジャック・ジョンソンには「それヤバいね!」と着ていたTシャツを褒めてもらったし、パティ・スミスは、このカエルのTシャツによく似た一枚をライブでジャケットの下に着ていました。ホテルのスーベニアTシャツらしいんですけどね。それで確信したんです。俺がビビビッと来ているTシャツは絶対格好いい!と。

ーそれで店も始めて本も出して。

三好 スタンスを変えずにやり続けてもう11年目。その間、著名なアートディレクターやミュージシャンなど、さまざまなクリエイターが来てくれて、何かを見つけては喜んでくれる。こんなTシャツを扱っているのは世界でも「ハローテキサス」だけだろうから、うれしいですよ。すぐ潰れるって言われていましたし(笑)。

ーTシャツに新たな価値を見出したんですね。

三好 こういう自由な感覚こそTシャツの魅力。相当ヘンテコな一枚を着ていてもそれほど変な人には見えないですから。Tシャツくらい自分本位で選べばいいと思いますよ。



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