世にはポケTが星の数ほど存在している。そんななか、あのエルメスが、カジュアルファッションの象徴であるポケTを作ってしまった。その時点でKOされる人は多いはずだ。
そして実物を手にして、またKO。素材の素晴らしさは言わずもがな。ディテールも徹底的にこだわっていて、どの部分を見ても感嘆感心。袖を通せば上品さが溢れ出し、一瞬で趣味の良さが伝わるのは、魔法なのか何なのか。
そのTシャツスタイルに、誕生80年を越えるアイコニックなジュエリーをちょいと加えてあげれば、足し引き不要、最高の夏カジの完成と思われるが、いかがか。
「エルメス」のTシャツ
横糸に強撚糸を使うことで表面にシボを出す、日本では「綿ちぢみ」とも呼ばれるコットンクレープのジャージー素材を採用。肌触りはサラサラで爽やか、湿気の多い日本でも涼しく快適だ。肩の縫い目がさりげなく「H」になっていたり、裾にスリットが入るなど細部にいろいろとうれしいこだわり。
「エルメス」のブレスレット
1938年に発表。誕生80年を越える名作シェーヌ・ダンクルはエルメスを代表するジュエリーのひとつ。4代目社長のロベール・デュマが港を散歩しているとき、目に留まった錨の鎖に着想を得て誕生。そんな人と海をつなぐロマンティックなエピソードには、どこか夏の薫りがする。
清水健吾、山本雄生=写真 荒木大輔、菊池陽之介=スタイリング MASAYUKI(The VOICE)、松本和也(W)=ヘアメイク 加瀬友重、谷中龍太郎、黒澤卓也=文