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――勧善懲悪じゃないですが、ゴジラも時代によって人類の敵になったり、味方になったりと変遷を繰り返してきました。でも本作のように敵、味方の両方に見えるように描いたというのは、やはり1954年のオリジナル版に対する目配せという意味あいがあるのでしょうか。

その曖昧さが僕は好きで。だからこそ、よりゴジラも複雑な存在になる。でもゴジラが善悪であることが問題ではない。人類が善か悪かということが問題なんだと思う。ゴジラはそれに対してリアクションするだけなんだから。

――監督の正義に対する考え方というのは、白黒はっきりしたものというよりは、善悪両方あわせもったものであるということなのでしょうか。

間違いなくそうですね。白黒ハッキリとした見方ではなくて、グレーという部分も受け止めるタイプではありますね。さらにそのグレーにもいろいろなグラデーションがあると思っています。

「ゴジラB.C.」を作りたい


――まさに監督の映画は単純な勧善懲悪ものではなく、考えさせる映画だと思いました。

『ゴジラ』映画はそうでなくてはダメだと思うんです。

前作の『GODZILLA ゴジラ』に続き、芹沢博士役で登場する渡辺謙(右)。とサリー・ホーキンス(左)。 前作の『GODZILLA ゴジラ』に続き、芹沢博士役で登場する渡辺謙(右)。とサリー・ホーキンス(左)。国際色豊かなキャスティングとなっている(写真:©2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.)


――カイル・チャンドラーさん、ヴェラ・ファーミガさん、ミリー・ボビー・ブラウンさんをはじめ、渡辺謙さん、チャン・ツィイーさんなど、国際色豊かなキャスティングとなりました。この背景を教えてください。

今回のキャスティングには本当に満足している。物語自体が、危機に直面したときはみんなで解決しないといけない。力を合わせて、いろんな人たちがひとつになる。だからいろんな背景を持つ人たち、いろんな年齢の人たちが登場するのは当然のことだと思っています。

――新たな設定で作り直すとしたらどんな『ゴジラ』映画を作りたいですか。

「ゴジラB.C.」という映画はいいかもしれないですね。人類とゴジラのファーストコンタクトの時代の作品を撮ってみたい。例えばそれは日本に将軍がいた時代でもいいけど。人類が初めてゴジラに接触したときに、昔の人たちはどうリアクションするのか、どうコミュニケーションをとるのか。もしかしたら他の怪獣と戦うために、人類が一緒に行動するのかもしれない。そういう映画に興味がありますね。

(文中一部敬称略)

 

壬生 智裕:映画ライター
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記事提供:東洋経済ONLINE

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