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2018.05.19

あそぶ

【試聴OK】世界の伝統音楽「アフリカ~ポリネシア篇」



前回に引き続き、世界の伝統音楽を巡る旅。後編はアフリカから出発して、ブラジル、アルゼンチン、ペルーからキューバ、メキシコ、アメリカときて、最後はハワイにたどり着くルートを選びました。

「オーシャンズコンピ」を最初から読む

こうしてセレクトしてみて改めて思うのは、中央アフリカの民族音楽の豊潤さと、「米(べい)」のつく地域におけるヨーロッパ勢、とりわけスペインの影響でしょうか。前回のアジアや中東、ヨーロッパとはまた違った発展の仕方があって、実に興味深いところです。どうぞお楽しみください。

Ganbri Instrumental / Gnawa Music Morocco
※試聴プレイヤー未対応楽曲

アフリカのモロッコは、料理やテキスタイルなどで馴染みのある方も少なくないでしょう。こちらでよく知られる音楽は「ゲンブリ」という三弦楽器を使った「グナワ」。トランシーな宗教儀礼音楽です。本来は歌が入りますがこの曲はインスト。

Taka Kadi / Boukader Coulibaly



日本でも人気の音楽家、サリフ・ケイタやアリ・ファルカ・トゥーレの出身地、西アフリカのマリ。そのマリの伝統音楽をコンパイルしたアルバムからの1曲です。アフリカ音楽の中でも聴きやすいものが多いので、このアルバムから入門するのもおすすめ。

Religious Dance (Cameroon) / Artists from Yaoundé



北アフリカは主にイスラム文化圏ですが、サハラ砂漠以南のアフリカ中部は様々な部族が固有の文化を持っています。西部のカメルーンもピグミーをはじめ240もの民族が存在する多民族国家。伝統楽器である木琴(マリンバ)と歌唱をたっぷりとどうぞ。

Fala a Buzina / Maracatu Nação Encanto da Alegria



南大西洋を渡って、南米へ。南米といえばやはりブラジル音楽でしょうか。「マラカトゥ」は、ブラジル北東部(ノルデスチ)の伝統芸能のことで、演奏と踊りが含まれます。聴いてもらえればわかる通り、ダンサブルなサンバのリズムですね。

Zamba para No Morir / Mecrdes Sosa
※試聴プレイヤー未対応楽曲

今でこそ「アルゼンチンといえば」のタンゴは、19世紀も後半に差し掛かる頃に生まれた音楽で、比較的新しいものです。では土着の音楽がなかったかといえば、「サンバ(Zamba)」や「チャカレーラ」といった舞曲様式の音楽があったそう。

Wayno Music / Ensemble from Titicaca



続いては同じく南米からペルーの音楽を。このあたりの音楽だと「コンドルは飛んでいく」を想起される方も多いかと思いますが、「ワイノ(Wayno)」と称される民衆音楽の方がより伝統音楽に近いようです。いずれにしても笛系の音色が特徴的。

Bono Enchemi / Wemilere
※試聴プレイヤー未対応楽曲

キューバには「ソン」や「ハバネラ」があり、それぞれサルサやタンゴに発展してゆきますが、一方で西アフリカのヨルバ人の民間信仰とカトリシズムなどが結びついた「サンテリア」という民間信仰があって、これは音楽とも密接な関係にあるのです。

La Liorona / Mariachi Nuevo Tecalitlán
※試聴プレイヤー未対応楽曲

2011年にユネスコの無形文化遺産に登録された、メキシコ音楽を演奏する楽団形態「マリアッチ」。ソンブレロを被って演奏するその姿は、様々な式典やイベントには欠かせない存在です。このあたりのいわゆるラテン音楽は日本でもおなじみですね。

Old Landmark (Live at New Temple Missionary Baptist Church, Los Angels, January 14, 1972 with James Cleveland & The Southern California Community Choir) / Aretha Franklin



入植によって国が形作られたアメリカは、土着の民族音楽というものを持ちませんが、ロックンロールやジャズなど新しいポピュラー音楽の地平を切り開きました。中でも教会音楽を大衆化したゴスペルは、アメリカの功績として評価されるべきでしょう。

Aloha Oe / The Rose Ensemble



二回にわたる伝統音楽の旅は、楽園ハワイでひとまず終了です。ラストはハワイ王国の最後の女王、リリウオカラニが作詞したとされる「Aloha Oe」(1877年)をどうぞ。引き続きタヒチやオーストラリアの音楽を掘るのもいいかもしれません。

<プロフィール>


青野賢一
1968年東京生まれ。ビームス創造研究所 クリエイティブディレクター、ビームス レコーズ ディレクター。ファッション&カルチャー軍団ビームスにおける“知の巨人”。執筆やDJ、イベントディレクションなど多岐にわたる活動を展開中。



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