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ユナイテッドアローズがなぜ事業承継するのか?

そして清水さんが通い始めてから20年近くが経ち、「カリフォルニア」に転機が訪れた。20年もの時間が流れればムーブメントはひと段落。その間には石田氏の逝去もあり、近年は経営にも携わっていた秋山さんが今後について清水さんに相談するようになる。それが2年前だ。
「その頃、より良く続けるためにはどうすればいいかと、ずっと考えていました。企業などの大きな力、信頼できる人にサポートしてもらえないか。そう思い、清水さんに相談したんです。
僕としては、自分が一緒にやっていくかどうかは別にして、店やブランドが語り継がれる状況をつくらなければと思っていました」。
秋山さんからの相談を受けた清水さんは、まず「なくしてはダメだ」という気持ちが生まれたという。
「楽しいサーフィンライフを送れるきっかけをくれたショップですから。なくなってはいけない、なくしたくない、という強い思いを純粋に抱きました。ただその思いは個人的なもの。僕が何かできるわけでもない。上司に相談し、絶対に会社にとってプラスになることを訴えました」。
以降、清水さんの奮闘が続く。経営陣に対しては、それまで同社が得意としていなかったサステイナブルの分野やアクティビティの活動拠点になるとプレゼン。リサイクル素材を使ったオリジナルウェアの展開や、サーフィンやヨガのアクティビティに触れられる場にできるとし、新しい顧客の創出、会社のイメージ向上につながるとした。
さらにコミュニティ形成にも期待を持たせ、事業としての持続性と、顧客の健康的な生活の持続性をかなえる場所を目指したいと訴えた。サーフィンにサステイナブルやウェルネスなどの要素を組み合わせた“現代的なサーフショップ”としての提案は、大きな反対の声もなく受け入れられたという。
そして2人は国内屈指のサーフカルチャーを牽引してきた地域のサーフコミュニティに敬意を持って挨拶へ。こちらも総じて受け入れてもらえ、晴れて東京のアパレル会社が営むビーチサイドのショップながら、自らが仕入れ手掛けるサーフボードやウエットスーツを並べて再スタートするにいたった。


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