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Q6. ボーダーレスに着るにはどれがオススメですか?


現在では大まかにウェアで7種、シューズで3種のテクノロジーが揃うゴアテックス。
「でも、そのすべてを把握していただく必要はないと思います。ウェアになる時点で各ブランドさんとゴア社で想定する用途に合わせた適切な機能を選んでいるので、あとはウェアを使うシーンや好みのデザインで選べば日常使いとしてはOK。
ちょっとした外出でも、アウトドアでも使いやすいという意味では、軽めのものがおススメですね。用途に合わせて選んでみてください。強い雨でも防水性は十分ですよ」。

Q7. 過酷とウワサのゴアテックスの試験、どんなものがあるんですか?

ゴア社が指す“防水”とは、ただの素材の性能だけにあらず。実際の製品を着用したときのことを想定し、内部に水が浸入しないことを確認できて初めて、その呼称が使われる。それを判断するのがいくつもの試験だ。
「いちばん重要な防水性を確認するものは、レインルームでのテストです。マネキンに製品を着せ、一定時間水をかけ続けて内部に水が浸入しないか確かめます。例えばオートバイ用の製品ならマネキンを前傾の乗車姿勢にしたり、雨の方向や強さも変えたりします」。
それをクリアできるまで、ディテールや仕様の修正は続く。パスできたものだけが世に出るのだ。

Q8. 最近よく見るインフィニアムとは何ですか?

現在ゴア社の技術を採用したウェアに付く大きな紙製のタグには、大きく分けて黒と白の2種類がある。黒が通常のゴアテックスシリーズで、白が防水性よりもそのほかの機能性や快適さを優先させたインフィニアムシリーズだ。
「従来防風技術の代表として知られていたウインドストッパーも、現在はインフィニアムシリーズのひとつのテクノロジーとしてラインナップしています。
標高の高い場所などでは強風に晒されるとかなり体温を奪われるので、この技術が役に立ちます。ダウンやインサレーションの保温性を高めるうえでも有益な技術として捉えられています」。

Q9. ケアはどうすればいいですか?


ハイテク素材とはいえ、ゴアテックスのウェアは家庭で気軽に洗濯が可能なのだ。
「むしろ、積極的に洗っていただきたいです。表面に汚れが溜まり、撥水性が失われると、水が表生地に染み込んで重たくなる。そして透湿の妨げとなり、さらに体からの湿気も相まって、体を冷やしてしまう危険性が高くなるんです。それが洗濯により避けられます。
また、ゴアテックスウェアの表地は撥水加工されていて、汚れを落として乾燥機にかけることで撥水効果を回復させることができます」。
洗う際には液体タイプの中性洗剤を使い、柔軟剤と漂白剤は使用を避けよう。

Q10. ゴア社は素材作り以外にどんな事業をしていますか?


3つのディビジョンで構成されるゴア社。我々が目にするウェアやシューズは“ファブリクス”と呼ばれる部門で、ほかに“メディカル・プロダクツ”と“パフォーマンス・ソリューションズ”がある。
「前述のePTFEは人工血管にも使われています。血管内治療領域をはじめとするさまざまな疾患を治療するための医療機器を開発しているのが前者。後者はより幅が広く、自動車やモバイルエレクトロニクスに航空宇宙まで、いろいろな産業に製品と技術を供給しています」。
登山家、医療従事者に宇宙飛行士まで、あらゆる専門家がその恩恵にあずかっているのだ。
 
清水健吾=写真 来田拓也、中北健太=スタイリング 礒村真介(100miler)、今野 壘、野村優歩=文


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