コロナ禍で、我々は多くのものと向き合った。衣食住に関しては、何某かのアップデートを行った人も少なくないだろう。
特に「衣」。オーシャンズを読んでくださっている諸兄ならば、そもそも服好きが多いと思うが、改めて、着ることは気分を高めることと見つけたり。
行動するシーンが減ることで、服を買わなくなったという人もいる一方、趣味に使っていた資金を服に回した、という人もいるかもしれない。
それでも、あるいは、だからこそ、服一着を、吟味して買うようになったという声も聞く。本当に必要なのかと、自問して。結果、向かうベクトルは、究極の自己満足。着て、アガる。シンプルだけど、大切なことだ。
そんななかで、編集部員の「今、気になる」をリサーチしたところ、そのほとんどが、ラグジュアリーなノーマル服だった。
何着も袖を通した人間がハイブランドに感じる「ちょっといい」が、ノーマルな見た目の中にも潜んでいるわけだ。
それは、長い時間をかけてランウェイで磨かれたノウハウと言ってしまえば、それまでかもしれないが、確実に存在する。例えば、スウェットならば、丈と身幅のバランス、シャツならば、光沢ある素材感や襟腰の高さ、デニムならば、風合いやシルエットといった具合に。
身に着けた者だけが納得できる仕上がり。そして、これ見よがしではない、さりげないアイコンもポイント。誰に知られることはないが、自己満足度を高めてくれるのだ。
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 髙村将司=文