今や大定番のミリタリー時計だが、なかでも“超”が付くほどメジャーな存在といえばハミルトンのカーキだ。
そんな人気シリーズにこの度、とある激レアモデルをデザインソースにした新作が登場。
早速、その魅力をレポートしたいが、まずはカーキについての簡単なおさらいから。
第二次世界大戦中にアメリカ政府より依頼を受け、ハミルトンは軍用時計を製造。その流れを汲む正統後継モデルこそが、カーキである。
シンプル&タフを貫くオーセンティックなデザインが特長で、バリエーションの豊かさも白眉。フィールド(陸)、ネイビー(海)、アビエーション(空)と大別されるように、あらゆるシーンに応じた機能性が過不足なく備わっている。
で、新作の「カーキ アビエーション パイロット パイオニア」。
名前の通り空軍へ支給された時計をモチーフにするのだが、さらにもうひとつ明確なルーツを持つ。
それが、今なおヴィンテージ市場で絶大な人気を誇る「モデル23」。腕時計ではなく、作戦実行中のナビゲーターが携帯した懐中時計だ。
そもそもハミルトンは第二次世界大戦中、腕時計だけでなくマリンクロノメーターや計時機器を軍に納品しており、「モデル23」も2万7000個以上を供給した記録がある。
緻密な作戦を支えた正確性は、これらの機器ありき。そのなかで「モデル23」は、ワンプッシュでスタート、ストップ、リセットが行える当時最先端のクロノグラフとして活躍した。
視認性に優れたスリムなインデックスやカテドラル針、レイルウェイトラック、そしてグローブをしたままでも回しやすい大きなオニオンリューズや両回転ベゼルなど、機能を裏打ちする武骨な顔立ちは男心をくすぐるに十分。
それらの見どころそのままに腕時計へと昇華させた「カーキ アビエーション パイロット パイオニア」は、まさしく“語れるミリタリーウォッチ”と呼べるだろう。
43mmと38mmという、2つのケースサイズが用意されるのもうれしい。
ともにクロノグラフでこそないものの、心臓たるムーブメントには当時の面影を感じさせる手巻き(43mm)と、80時間のロングパワーリザーブ&高耐磁性能を備えた自動巻き(38mm)をそれぞれ採用。
ヘリテージを想いつつゼンマイを巻き上げるか、モダンな恩恵に浸るか。
43mmには色合いの変化も味わいとなるブロンズケースモデルもラインナップし、一層の選ぶ楽しみを与えてくれる。
渋みと深みを宿すパイロットウォッチ。古くて新しいカーキが、これからの時間をさらにワクワクさせる。
[問い合わせ]スウォッチ グループ ジャパン03-6254-7371
www.hamiltonwatch.jp
商品詳細はこちら増山直樹=文