2021年4月にローンチされた新たなライン、ジェネラルスケール メゾン ミハラヤスヒロ(以下、ジェネラルスケール)。
そのスニーカーはアッパー、インソール、アウトソールから縫い糸にいたるまで、あらゆるパーツが生分解性の素材で作られているという。デザイナーの三原康裕さんが詳しく教えてくれた。
サステイナブルはトレンドではなく社会的な義務である
「オーガニックコットンのアッパーに天然ゴムのアウトソール。インソールは植物繊維で作られています。もちろん糊や顔料なども微生物分解できるものを使っています」。
ハトメや靴紐の先に金属やプラスチックを使用するスニーカーは多いと思うが、ジェネラルスケールのスニーカーは違う。それらの部分もオーガニックコットン糸で仕上げている。
またすべてのパーツの素材、メーカーや工場、生産国をホームページ上で開示。一足のスニーカーがどうやって作られているのかが、明瞭に可視化されている。
「ジェネラルスケールはいわばある種のトライアルです。突き詰めればどこまでできるのか、という。このスニーカーは理論的には確実に土に還ります。
でも天然ゴムが10年、20年経って土に還る様は、実は誰も確認したことがないんですよ。それでも今のところは、正しいと思うことをやるしかない。
この考え方は、すべてのサステイナブルな取り組みに共通している部分だと思います」。
’10年代半ば頃から、ファッション業界におけるサステイナブルな取り組みは一気に加速してきた。素材や生産ラインの見直し、労働環境の改善、動物愛護、多様性の肯定。
現在ではラグジュアリーブランドからカジュアルブランドまで、規模の大小やアプローチの違いにかかわらず、“サステイナブル”は企業活動の欠くべからざるキーワードとなっている。
「それ自体はとても良いこと。でもトレンドのように扱われることには違和感があります。あまりしつこく言い続けると、逆に人って飽きちゃうでしょ(笑)。そうなるとまったく笑いごとではなくなって、未来に生きる人たちに大変な苦労を強いることになる。
サステイナブルはもはや社会的な義務ですが、どのように伝えていくかも重要なことだと思います」。
ブランド名のジェネラルスケール(=一般的な基準)には、「サステイナブルが当たり前の世の中になってほしい」という願いが込められているのかもしれない。
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