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相手の話を8割、自分の話を2割に


── 相手の話をうまく引き出すコツは何だと思いますか?
アイドリングトークで場を和ませたあと、実際に話が始まったら相手の話を8割、自分の話を2割に抑えることを意識するといいですね。これはアメリカの心理学者が提唱したものですが、相手に気持ち良く話をしてほしい場面で有効だそうです。接待なんかで使えるテクニックではないでしょうか。
── 逆に自分の話を2割する、というのが案外難しい気がします。
どんな相手でも話が一方通行になったらダメ。「そうなんですか」と相槌を繰り返すばかりでは相手も退屈するし、疲れてしまう。話しやすい環境を作るには、林さんのように「自分のフィールド」で質問をするのがおすすめです。
── 自分のフィールドというのは?
「自分のフィールド」っていうのは、自分が得意とする土俵に相手に上がってもらうこと。例えばスポーツが好きなら「スポーツは何かされてますか?」と話を振って、会話の糸口を探してみたり、映画好きなら、相手の話を映画のワンシーンに例えてみたり。
あくまでも話しやすい環境を作るために会話を広げることが目的なので、自分の話をしないように注意してください。
── なるほど。会話を広げるための2割ですね。
そうです。あと「自分の話」で言うと、相手のプライバシーに関する質問では、自分のことを先に話すようにしてください。
「私は〇〇が苦手なのですが、Aさんはどうですか?」と、自分の状況を先に打ち明ける。
自分だけが情報を抜き取られていると感じると相手は不快に思うものです。まずは自分から胸襟を開く、その姿勢が大切です。
 

初対面の人と距離を縮めるコツ

── 初対面の相手と1対1で話す場合のテクニックはありますか?
まったく初対面の相手の場合は、共通点を探すところから始めてください。どんな相手でも、共通の話題が見つかれば盛り上がるんですよ。
同郷だったとか、同じ趣味を持っているとか、何でもいい。相手のことを調べられるなら、事前に極力リサーチすることですね。
── なるほど。ここでも準備なんですね。
そうです。今はSNSもホームページもあるから共通点となる情報を探しやすいですよね。取引先の新製品が発表されていたらそれについて話を振ってもいいし、「新しいCM見ましたよ」と、関心を示してもいいし。とにかく敵じゃないことを伝えるんです。
── 敵じゃない、とは?
これは生物的な話になりますが、人と人が初めて会うとき、相手が敵なのか味方なのか分からないじゃないですか。だからやっぱり身構えるんですよ。
私は味方ですよって思わせることは、関係を築くためには有効です。接待で食事をするのが慣習なのもそれが理由で、一緒にごはんを食べることで敵意がないことを示せば関係は一歩近くなりますよね。

1対1のコミュニケーション術のおさらい。「自分から胸襟を開く」「共通点を探す」「相手の話を8割・自分の話を2割」を心がけ、一歩踏み込んだフリートークにチャレンジしてみよう。
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会議やプレゼン、上司や家族との関係など、コミュニケーションにまつわる悩みはつきない。話のプロ、青木源太さんの場合はどう対処している?
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ぎぎまき=取材・文
 


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