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リーダーこそ自己開示すべき


今どきのリーダー像は、現場の最前線の状況を知るメンバーからの情報や提案を集めながら、チームのみんなでビジョンや方針を作っていくといったもの。それなのにメンバーから「距離」を置かれてしまっては役割を果たすことはできません。
つまり、リーダーはメンバーが話しやすい人にならなくてはいけません。ただ、それは必ずしも優しく受容的な人になれということではありません。自分がどんな人であるか、自己開示をすることで、メンバーの警戒心を解くということです。
自分がどんな人間で、どんな価値観や考え方を持っているかをはっきりと伝えていくことで、「この人は独断でなんでも決めようと思っていない」「謙虚にメンバーの声に耳を傾ける人だ」「公平な人だ」などということがわかれば、自然にメンバーとの距離は近づき、彼らの声は集まってくるはずです。
 

「弱さの強さ」の重要性


自己開示をするときにお勧めなのは、自分のこれまで生きてきた歴史(ライフヒストリー)を語ってみることです。
「人は誰も完璧ではないのだから助け合いながらチームで成果を出したい」と伝えるよりも「新入社員の頃、ひとりで仕事を抱え込んで過労で倒れてしまったことがあり、その際、なぜ助けを求めなかったのかと先輩に真剣に怒られた」というような具体的な経験に裏打ちされた思いであることを伝えるほうが、この人は本気なのだと思ってもらえます。
さらに言えば、リーダーの自己開示において「弱さの強さ」という考え方が特に重要だと思います。「ヴァルネラビリティ(vulnerability)」(直訳すると「脆弱性」)とも言われますが、「自分の弱さを他人に見せることができる強さ」ということです。
例えば、「自分は思い込みが強く、最初に思いついたアイデアからなかなか逃れられないタイプだから、そういう状態に陥っていたら、ぜひ直言してほしい」というように、自分のダメなところは先に言ってしまってはどうでしょうか
 

信頼するから信頼される


ただ、弱みをみせるのは勇気がいるものです。しかし、そこはメンバーを信じるしかありません。人は自分を信じてくれる人を信じるものです。リーダーがメンバーを信じていないのに、メンバーがリーダーを信じてはくれるはずがありません
自己開示して最初のうちは訝しがられたり、誤解されたりすることもあるでしょうが、本気で信じてコミュニケーションしようとしていると感じたのなら、雪解けはそう遠くはないでしょう。これがリーダーになったときの、最初の仕事かもしれませんね。
曽和利光=文
グラフィックファシリテーター®やまざきゆにこ=イラスト・監修
曽和利光さんとリクルート時代の同期。組織のモヤモヤを描き続けて、ありたい未来を絵筆で支援した数は400超。www.graphic-facilitation.jp
 
「モヤモヤ り〜だぁ〜ず」とは……
組織と人事の専門家である“そわっち”が、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった「20代から好かれる上司・嫌われる上司」の続編である。
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