「僕が初めてヘイズのTシャツを買ったのは専門学校生の頃。地元札幌の店でした」。そう話してくれたのはファッションキュレーターの小木“Poggy”基史さんだ。
当時のPoggyさんはバンド活動に夢中で、ビースティ・ボーイズをよくカヴァーしていたそう。エリック・ヘイズが名盤『チェック・ユア・ヘッド』のジャケットを手掛けていると知ったのはその少しあとだ。
ファッションの世界で活躍するようになり、本人との交流も始まったわけだが、先頃、Poggyさんがキュレーターとしてそんな思い入れの深いアーティストと引き合わせたのはご存知、ジミー チュウ。
意外に思える英国のハイブランドとのマッチング、彼の意図はこうだ。
「デザイナーのサンドラはロックがルーツ。だけど、ビースティはロックとヒップホップを橋渡しをした存在。 音楽がルーツの彼らのミクスチャーを見てみたかった。面白いものが生まれるはずだと思いました」。
完成したコレクションには、グラフィカル、かつ現代的なデザインが並ぶ。そうした目を引く要素をあくまで普遍的な着こなしに取り入れるのがPoggy流だ。
この日は古着のセントジェームスにカーハートのパンツ、キャピタルのブレザーというトラッドなスタイルのアクセントにラグジュアリーな雰囲気が漂うバッグと革靴をあわせた。
「誰もがしていそうなベーシックな格好に自分の好きなカルチャーや個性をどう織り混ぜていくかをいつも気にしています。
どんな服にも壁を作らず、コーディネイトもミクスチャーでいきたい。時に、この服にこれが合うのか!と大きな発見がある。そのワクワクが忘れられないんですよね」。
西崎博哉(MOUSTACHE)、清水健吾、山本雄生、関 竜太、井手野下貴弘、松林寛太、大村聡志、志賀俊祐、品田健人=写真(人物) 川西章紀=写真(静物) 加瀬友重、髙村将司、オオサワ系、黒澤卓也、今野 壘、野村優歩、HIROMI YAMADA=文