当記事は「FLUX」の提供記事です。元記事はこちら。ハワイ・ホノルルの海で洋上生活。そんな誰もが憧れるような暮らしをしていたハリントン家。
今は“この家”から引っ越してしまったが、ボートハウスには10年以上暮らしたという。そのキッカケと当時の様子を振り返る。
トレース&リサ・ハリントン夫妻が、広々とした80トンの掃海艇を主な住居としてから7年近くが経った。この掃海艇は1950年代に米海軍で使われていたもので、海中の係維機雷のケーブルを切断する役割を担っていた。
しかし、今では「カイイポ(海を愛する人)」として知られるハリントン家の自宅だ。
夫婦のほかに、息子のローガン、娘のカイリー、それに黒いトラ猫、その名もバットマン・セオドア・ハリントンが住んでいる。
海で暮らしてみようという考えを夫妻が思い浮かべたのは、2006年のある日。夕暮れの波間に係留されたボートが輝くアラ・ワイ・ハーバーを散歩し、レストラン「チャートハウス」でディナーを楽しんだあとのことだった。トレースさんはこれまでずっと水に親しんできた。
アリゾナ州で育った子供時代にセーリングを覚え、父親が病院経営者として働いていたサウジアラビアでは紅海で釣りを楽しんだ。
18歳のときにメキシコでダイビングを習い、マウイにいる間に船舶免許を取得し、オアフでマリンスポーツを提供する企業を興した。
リサさんは、水に触れることがいつも大好きだった。ミシガン州の五大湖の近くで育ったが、湖上に住もうなどと考えたことはなかった。
婚約後、ルームシェアに飽き飽きしたふたりは、大きく舵を切った。前述のディナーデートの数日後にはヨットのブローカーに連絡をとり、すぐに3つの寝室とふたつのバスルームがある船をふたりの年老いた紳士から確保した。
それから6カ月かけてリノベーション。寝室にエアコンを入れ、テレビや食洗機、洗濯機を取り付けた。排泄物を灰にして海に放出できる焼却トイレを装備することも忘れなかった。
こうしてカイイポ号の出航準備が整った(しかし、船を主な住居とする人に対して州が求める船上生活許可が下りるまでに2年かかった)。子供たちが生まれ、スパイダーマンとハローキティをテーマにした寝室を作り、改装は完了した。
ハリントン家は今では、甲板からアラモアナボウルズの100万ドルの景色を楽しみ、金曜日の夜には花火を最前列で鑑賞し、波に揺られながら近くのヨットクラブから聞こえてくる世界レベルのエンターテイメントに耳を澄ましている。
「私たちが海の上にとどまる理由のひとつに、週末や夜の最先端を追いかけられることがあります。実際に話題に事欠きませんよ」とトレースさん。
リサさんも「我が家は、アパートなんかと比べても、きちんとしています。違いは、庭がないってことくらいかしら。その代わりにビーチがあるから、午後になるとビーチに行くんです」と続ける。
家族と必要なギアをたくさん乗せたハリントン家の船は、ただの住居ではない。「家(ホーム)」なのだ。
リサ・ヤマダ-ソン=文 上林香織=翻訳
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