「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは……ずっと枕を買い替えたいと思っていたのですが、何がいいのかわからない。オーダーメイドも考えたけれど、作ってみて自分に合わなかったらどうしようと思うと踏み切れない。
そんなとき、たまたまインスタグラムに枕の広告が入ってきて、あれ?これは何だろう?「ブレインスリープ」?脳が眠る!?と妙に気になったんです。
この手のモノは普通“5800円”みたいな微妙な値段だったりするのに、3万円台とけっこう高い。好奇心で思わず調べてみると、通気性が良く、丸ごと洗える枕とあって、なかなか気持ち良さそう。実際使っている友人の「めっちゃいいよ」という感想も後押ししました。
今までいくつか試してみたけれど、ホテルにあるようなフカフカな枕は合わないし、洗えないと匂いが気になるし、どれもしっくりこなかったのですが、これは今までにない類いの枕なので、チャレンジする価値はあるのかなと思いました。
なにしろ見た目が面白い。100%リサイクル可能なポリエチレン樹脂の細いコードが、もじゃもじゃっと絡まり合って固まっていて、すごく通気性がいいんです。
睡眠は眠りについてから最初の90分が重要らしいのですが、頭に熱がこもらないので、寝つきがよく、眠りも深い気がします。
「プレインスリープ」のブレインスリープピロー眠り始めの90分にしっかり成長ホルモンを分泌させるために、脳を眠らせる睡眠環境を整えてくれる枕。独特のフィット感と通気性が快眠に導く。体型に合わせて大きさは3種類あり。
もともと旅先ではあまり眠れないデリケートなタイプなのですが、この枕に替えてからはよく眠れていますね。丸ごと簡単に洗えることもあり、風呂上がりに髪が少々濡れていてもそのまま寝ちゃったりします。
そういえばうちの奥さんからも、「よく寝た」っていうセリフを聞くようになった気がします。
シンプルに見えて、実はきちんと人間工学に基づいて、テクノロジーとして良質の睡眠を追求しているのもすごいですが、涼しくて洗いやすいという特長が、パッと見るだけで伝わるのがとにかくいい。“もじゃもじゃ”がつぶれずに頭にフィットするよう、相当テストを重ねたんじゃないかな。
いろいろな枕があるけれど、奇をてらっているわけでもなく、下手にデザインしたりもせず、ただ通気性ということで勝負している。そこがわかりやすくていいなと思いました。いいモノって、なぜか潔いんですよね。
[藤井隆行 プロフィール]
東京を代表するブランド「ノンネイティブ」のデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。「夏から始めたランニングも、秋になり心地良くなってきました。今はウェアとシューズ選びが楽しくてしょうがない」。
「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは……
世の中のありとあらゆるプロダクツから、「ノンネイティブ」藤井隆行さんが独自のセンスと審美眼でモノをセレクト。デザインとは? 実用性とは? 買い物の醍醐味とは? ブランド名や巷の情報に惑わされず、本当に自分に必要なモノと出会う方法を指南。
上に戻る 竹内一将(Ye)=写真 町田あゆみ=文