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「コンドリアーゼ」という新薬

実は腰椎椎間板ヘルニアに関しては、日本で開発された画期的新薬があります。2018年3月に厚生労働省が製造販売を承認、5月に保険適用した「ヘルニコア(一般名:コンドリアーゼ)」です。
使用法としては、局所麻酔をした上で椎間板内に注射します。薬剤の効果で椎間板内の髄核を適度に加水分解し、突出したヘルニアを減圧することが可能です。日帰りもしくは一泊で治療を行います。
内服薬やコルセットなどによる保存治療を十分に行ったものの、治療効果が得られなかった場合に適応としています。
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従来の医療技術では、手術以外の治療方法で、突出したヘルニアを「へこませる」、「形状を変える」ことはできませんでした。その点、コンドリアーゼは、「ヘルニアの形を変える」手法として大変画期的です。これまでに1万3000人以上に使用され、多くの施設から7〜8割近い効果が得られたことが報告されています。私が担当した慶應義塾大学病院のデータでは、6カ月で80%以上の方の症状が改善しています(※注3)。
腰椎椎間板ヘルニアの中でも「後縦靭帯下脱出型」といわれる患者さんに適応する薬剤で、すべてのタイプのヘルニアを治療可能なわけではないものの、適応する患者さんにとっては、手術を受けず「1回の注射」で高い治療効果が期待できるため、手術以外の有用な選択肢となりえるでしょう。
またコンドリアーゼは、完全な「メイドインジャパン」の技術であることも重要です。現在は、米国やシンガポール、韓国などに進出しようとしているフェイズです。これが広く受け入れられれば、いわば日本の「国益」ともなりえる点でも、注目される技術といえると思います。
 
(※注1)岡田英次朗医師らによる以下の論文がある(無料ダウンロード可能)
Okada E et al. Disc degeneration of cervical spine on MRI in patients with lumbar disc herniation: comparison study with asymptomatic volunteers. Eur Spine J. 2011 Apr;20(4):585-91. doi: 10.1007/s00586-010-1644-y. 
(※注2)
抗酸化剤「Nアセチルシステイン」臨床試験(治験)参加希望の場合、連絡先は以下:
〇担当:慶應義塾大学整形外科教室 秘書 脇田希恵/研究責任者 渡辺航太/実務担当者 鈴木悟士
〇電話:03-3353-1211(代表)
〇臨床試験対象者:腰痛があり、中等度の椎間板変性を有する(MRIで審査)20歳以上65歳未満
〇試験の内容:24週間、プラセボ錠を含む薬剤を服用し、服用開始前後でMRI撮影をする。
(※注3)岡田英次朗医師らによる以下の論文がある
Eijiro Okada et al. The effectiveness of chemonucleolysis with condoliase for treatment of painful lumbar disc herniation  Orthop Sci. 2021 Jul;26(4):548-554. doi: 10.1016/j.jos.2020.06.004. 
 
石井節子=構成


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