──ムーブメントが起きている中で、今後のアートビジネスの展開をどのように考えていらっしゃいますか?今までのようにアートを所有するだけではなく、例えば、レンタルサービスや、オンラインを通しての販売活動など、アートがより身近な存在となってきていますし、マーケットはどんどん進化していると実感しています。
もちろん、アートコレクターの数、作品の金額などはまだまだ小規模ではありますが、アート業界が活性化してきていることは間違いありませんし、僕自身これからのマーケットに大いに期待しています。
──それはやはりアートを所有するということだけではなく、アートに触れるツールが増え、そこからアーティストを支援する機会も広がっているということでしょうか。かつては、アートは一部の富裕層や企業の所有物というケースがほとんどでしたが、今はごく普通の人たちもコレクターとしてアートの世界に参入することができるという点で、日常生活の中でアートとの繋がりが「線」ではなく「面」で広がってきていると思います。
それにNFT(*)という新しいデジタルシステムが今までのアートビジネスでは考えられなかった可能性の広がりを見せ始めています。画期的なプラットフォームで、その信ぴょう性や、認知を手に入れるまでにはまだ時間を要するかもしれませんが、限定的なイベントを企画することも可能で、多様性が感じられます。
つまり、これからはアートを「所有」するのではなく、「シェアする」という思考に切り替えながらアートそのものに価値づけをしていくことが大切で、ひいてはそれがアーティストを支援するという道に繋がるのではないかと思っています。
そういう点では、私自身もこれから先切磋琢磨して数多くのことを学んでいかなければならないと思っています。
* NFT(Non Fungible Token)の略で、アート作品を含むデジタルデータの所有権をインターネット上で保証するデジタルシステム──アートを更に身近な存在にするためには、作家とコレクターの接点を増やしていき、作家にもマーケットとの接点を認識してもらう必要があるのではないかと思いますが、その点について今後どのような展開を考えているのでしょうか。それについては、会社員時代の音楽ビジネスで培ったノウハウを美術の世界でも活かし、アートをビジネス化していきたいと思っています。
アーティストに対しては「自分たちが考えているゴールや目的設定」をヒアリングするなどして、しっかりと対話をしながらお互いに確認し合う作業も必要になってくると思います。
幸いbiscuit galleryという場があるわけですから、これから先もアーティストを巻き込んで直接向き合いながら会話をしていきたいですし、コレクター同士がギャラリーに気軽に集まって情報交換ができるような空間づくりもしていきたいと思っています。
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