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2021.09.15

あそぶ

イリオモテヤマネコだけじゃない! “大野生”が溢れる西表島に、世界が注目するワケ

なんだか“大野生”が巣食う島に、人がお邪魔をしているようだ。
島の周囲には美しいリーフが広がる。
目の前で次々と繰り広げられる光景。それは過去に訪れたハワイでもタヒチでも見られなかったもの。

ブラジルのジャングルや、生物多様性の宝庫コスタリカに行けば、似たような光景に出会えるのかな。そう思えるほどの生命力に、西表島は溢れていた。
 

大自然と言うより“大野生”。世界が認めた島

カヌーでゆっくり進む勇壮なマングローブの森は神秘的で、ビーチでは数多のヤドカリが歩き、森を行けば山に生きる昆虫たちが足元にやってくる。
国内最大のマングローブ原生林
国内最大のマングローブ原生林。カヤックでのんびりいくだけで癒されるが、癒しをくれるマングローブについて知れば、旅により深みを与えてくれる。
サンゴ礁の海でシュノーケリングをすれば色とりどりの熱帯魚がそこかしこで泳ぎ、夜になって夜行性の生き物や星空を楽しむツアーに参加すれば、道路をヤシガニが歩き、イノシシが横切り、電線にはフクロウがとまる。
シュノーケリングで少し潜るだけでこの光景。
シュノーケリングで少し潜るだけでこの光景。天然の水族館ならぬ「これぞ自然界の姿」に西表島の海では触れられる。
ジャングルを歩き、ふと視線を送るとヤモリなどの小動物と「こんにちは」。
ジャングルを歩き、ふと視線を送るとヤモリなどの小動物と「こんにちは」。そんな状況に数えきれず遭遇する。
そしてガイドさんは「ハブもその辺にいますので」とのたまった。

今回の滞在はわずかに2泊。それでも数多くの“野生”が目の前にあらわれた。剥き出しの西表島の“日常”は、圧倒されるほどにすごかった。
リュウキュウイノシシも道路脇にひょっこり
夜になると野生動物の動きは活発になる。リュウキュウイノシシも道路脇にひょっこり。
道路を横断するオオガニにも遭遇。
道路を横断するオオガニにも遭遇。誤って轢かないよう「夜間の運転はスロースピードで」が鉄則。
沖縄県の八重山諸島にある西表島は、東京から2000km、沖縄本島からも約400km離れた場所にある。むしろ台湾のほうが近い、いわば日本の端にある島だ。

人口はわずか2400人。人間活動による影響は少なく、そのため大いなる“野生”が今も息づいている。
フクロウのリュウキュウコノハズク
聴き慣れない可愛い鳴き声に誘われて振り向くと、そこにはフクロウのリュウキュウコノハズクが。
この7月には、奄美大島、徳之島、沖縄島北部とともに世界自然遺産に登録。その背景にも豊かな生物多様性があった。

地球上のほかの地域では見られない、西表島だから確認できる固有種、絶滅危惧種が生息・生育しているのだ。
こちらは無毒の蛇のサキシママダラ
滞在中には蛇も登場。「ハブか!」とちょっと焦ったが、こちらは無毒の蛇のサキシママダラ。
最たる象徴がイリオモテヤマネコ。現在の個体数は100頭ほどとされ、かつ減少傾向にある西表島の固有種だ。

さらに周囲約130kmの島の9割が亜熱帯の原生林で覆われ、マングローブの原生林は国内最大という、まさしく大自然ならぬ“大野生”が残る場所なのである。


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