サステイナブル戦略を支える「グリーンレーベル」
ではそのサステイナブルな戦略は、具体的にどうファッションに落とし込まれているのか。主軸となるのは「グリーンレーベル」という存在だ。
こちらは’20年秋冬シーズンに登場したコレクション。製造工程において水と化学薬品の使用を大幅に削減し、高い環境基準にもとづいて生産したデニム5型から、このコレクションはスタートした。
「現在ではデニムをはじめブルゾン、スウェット、Tシャツなど数多くのアイテムをラインナップ。オーガニックコットンや再生ポリエステル、またそれらのハイブリッドな再生繊維などを素材に使用しています」(プレス・桑野宏一郎さん)。
目印となるのはコレクション名のとおり、服に付けられたグリーンのタグ。全体の生産量から考えれば、グリーンレーベルの服の割合は決して高くない。
しかしながらシーズンを追うごとに着実にそのバリエーションと生産量を増やしている。何よりグリーンレーベルという枠組みが、よりチャレンジングな服作りの“背中押し”になっていることに注目すべきだろう。
そのひとつの成果が、今年6月に発売された抗菌・抗ウイルス加工とニオイの吸着分解加工を採用したデニムだ。
スウェーデンを拠点とする抗菌防臭加工のリーディングカンパニー、ポリジン社との協業により誕生したこのデニム。その特性は2つの技術によって実現される。
繊維上の微生物を減少させウイルスやバクテリアの汚染から守る「ポリジン・バイラルオフ」。そして独自の触媒作用により臭気分子を分解し効果的にニオイを消滅させる「ポリジン・オドークランチ」という技術である。
コロナ禍という状況下で大きな話題となった商品である。だがこのデニムが目指すもうひとつの目的は、抗菌・抗ウイルスの先にある。
デニムにニオイがつきにくくなるから、洗濯の回数を抑えられる。洗濯が少ないから生地へのダメージも少なくなる。つまり余分な水やエネルギーの使用を抑制することで環境負荷を軽減し、服を長持ちさせることにもつながるというわけだ。
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