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週末キャンプからヒマラヤまで、使用環境を選ばない信頼性

プリムス
1985年日本上陸時のカタログ。現行品とほぼ形が変わらない製品も少なくない。
以降、現在にいたるまでアウトドアの燃焼器具ブランドとして世界120カ国以上で販売されているプリムスだが、日本に上陸したのは岩谷産業とプリムス社が合弁会社「イワタニ・プリムス」を設立した1985年と、かなり後年のこと。
当時の日本はバブル景気前夜。所得が向上して生活に余裕が生まれ、週休2日の働き方が定着して余暇が増えことで、アウトドア市場が成長し始めた時代だった。
280万もの世帯に「LPG(液化石油ガス)」を販売していた岩谷産業が、ガスボンベを使ったアウトドア製品の展開を積極的に増やそうとしていた時期でもあった。
また、’70年代半ばまで、アウトドア用のガスコンロは一旦燃料に接続すると使い切るまで取り外すことができず、そこに新たなガスバルブ構造が登場。一気にガスコンロやストーブのコンパクト化が進んでいった時代とも重なる。
プリムス
現在は燃焼器具以外のギア開発も幅広く手掛けている。
このように、さまざまな時代背景も追い風となり、携行性に優れ、使用環境を選ばないプリムス製品は日本でもヒット。アメリカ的な使い捨て感覚ではなく、ヨーロッパの長く良いものを使う高級志向の打ち出しも成功した。
1990年代のオートキャンプブーム、のちの登山ブームの波にも乗り、今ではすっかりアウトドア好き御用達のブランドになっている。
ちなみに、筆者の登山仲間の中には父親から譲り受けたという年代モノのプリムスのバーナーを現役で使っている人がいる。これが使い込まれた雰囲気でものすごく格好良い。
プリムス
ヒマラヤ登山家もピクニックに出かけるファミリーも同じ道具が使える。
現在は、世の中の需要の変化に合わせるように製品数も増加中。グループキャンプで使えるような焚き火台から、ソロキャンプに対応可能な小型バーナーやクッカーにいたるまで、日本国内では60型近くを展開する。
その高い品質と信頼の根底にあるのは、やはり100年以上もの長きに渡り「燃焼の専門メーカー」として歩む中で、常に世界中の過酷な環境でも機能し続けてきた歴史だろう。長い年月をかけて“最初の”ストーブは磨き上げられ、週末のキャンプでも、ヒマラヤや南極遠征でさえも変わらない実力を示し続けている。
 
[問い合わせ]
イワタニ・プリムス
03-3555-5605
www.iwatani-primus.co.jp
「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。 上に戻る
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池田 圭=文 矢島慎一=写真


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