トレイルランニングの自由なスタイルとの出合い
鈴木さんにとってもうひとつのランニングにおけるアップデートは、トレイルランニングと出合ったことだ。
「3年前に知人に連れられてトレイルランをするようになって、また走り方が変わりましたね。ロードランオンリーだった頃は、ランニングの途中で止まるという概念が頭にありませんでした。赤信号に捕まりそうになったら曲がって、遠回りしてでも走り続けることが当たり前のスタイルで。
でも、トレイルランだと途中で立ち止まることは少しも珍しくありません。急な登りは走れませんし、山頂についたら達成感とともに一息つける。途中でご飯を食べたり、お茶屋さんに寄り道してビールを呑んだり、一見ハードに思えるけど、走りに対するゆとりが結構あるんです。
そんなトレイルランを経験してからは、普段のロードランの途中で立ち止まったりすることも気にならなくなりましたね。シンプルに、走ることを楽しめるようになったのかもしれません」。
なんだかんだ、やっぱりランニングが好きなのだ。
「走り始めてから、仕事やプライベートにもポジティブな影響しかないですしね。一番の変化は残業が減ったこと。夜に走るので、遅い時間までダラダラ仕事することを避けるようになりました。
生活にメリハリをつけるために業務の効率を意識するようになったんです。あと、自分は走るときにイヤホンをしないので、考えごとをする良い時間にもなっていますね」。
ランニングそのものは、必ずしも好きじゃなくてもいい。ただ、走ることでメリットが生まれるから走る。そのために、意図せずともちょっとした工夫を重ねることでランニングをアップデートさせていく。
鈴木さんにとってはそれがトレイルランであり、レースに参加することだ。目下の目標はフルマラソンでの3時間10分切りと、100マイルのトレイルレースを完走し、『100マイラー』の称号を手に入れること。
そのために気分が乗るウェアに身を包み、今日も走るのだ。
RUNNER’S FILE 41 氏名:鈴木武史 年齢:43歳(1977年生まれ) 仕事:アパレルメーカー EC統括 走る頻度:週5〜6日、週間走行距離70km程度 記録:フルマラソン3時間17分(2019年 勝田全国マラソン) |
連載「Running Up-Date」一覧へ「Running Up-Date」ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。
上に戻る 礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真