世界中で愛されるボタンダウンシャツ。それが、ブルックス ブラザーズの「ポロカラーシャツ」(もともとはこの名前)である。つまりメンズ服の中の比類なきスタンダードアイテムということ。
ただそんな大定番にも、いや大定番だからというべきか、長きにわたり醸されてきた物議(?)がある。それは裾出しの是非。
本来このシャツはタックインを前提として作られている。長い着丈と深いサイドスリットは、パンツにしまって動きやすく、丸1日働いてもシャツの裾が決して外に飛び出ることのないように考えられたディテールなのだ。
だから、裾出しするとちょっとバランスが悪い。でも、それをあえてオーバーサイズのバランスで着こなすから味があるんじゃないか、という意見も理解できる……。
さてそんな騒動を知ってか知らずか、別アプローチでこの論争に終止符を打つ新たなボタンダウンシャツが、当のブルックス ブラザーズから誕生した。
着丈が短く身幅の広い、ボックスタイプの新シルエットである。まさに裾出しに打ってつけのシルエットじゃないか!
これを作ったのが、2021年秋冬コレクションよりクリエイティブ ディレクターを務めるマイケル・バスティアンだ。袖を通せばご覧のとおりの今求められるリラックスした雰囲気。
それでいて品の良さが漂うのは、アメリカントラッドを牽引し続けてきたブランドの、歴史と伝統がこのシャツに息づいているからに違いない。まさに力作。ブランドの新たな定番として広く認知されるに違いない。
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 加瀬友重=文