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自然農法にこだわるキッカケは子供の存在だった


この日、畑に植えられた種は、山田さんの大好物のパクチーを始め、オクラやトウモロコシ、キュウリなど。すべて、埼玉県の「野口のタネ」から購入した固定種のみを使用しているという。
我々がスーパーマーケットなどで目にする野菜の多くは、“F1種”と呼ばれる種でできている。かたや固定種とは、日本の農家が昔から育て採種してきた種のこと。しっかりした味がして美味しいという声や、F1種のように品種改良されていない分、安全性が高いと見る向きもある。
「昔ながらの野菜を食べてみたいし、日本古来の種を守ることにも繋るので、僕らの畑では固定種にこだわった野菜だけを育てる予定です」。

そもそも、自然農法や固定種にこだわるようになったのはなぜか。
「子供が生まれてから、口に入れるものの安全性を気にするようになりました。僕はお酒も飲むし、たばこも吸うし、撮影のときは弁当も食べます。100%健康的なものだけを口にしているわけではありません。でも、だからこそ食べ物を選べるときは、意識して選びたいと思っています」。

子供の影響でオーガニックの野菜や食品を選ぶようになったという山田さんだが、東京には、無添加や無農薬をウリにした小売店やレストランも多い。
全国の農家から野菜を取り寄せられる宅配サービスも充実しているし、自分でわざわざ野菜を育てる必要もないように思える。それでも畑に足を踏み入れたのはなぜか。
「もともと10代の頃から自給自足の暮らしには興味がありました。世界でもいろいろなことが起きて、今まで当たり前だったことが当たり前じゃなくなった。それを目の当たりにした経験が決定打だったかもしれません」。
それに、と山田さんは続ける。
「農家の方たちが高齢化している現状もありますよね。プロの知識や技術を学ぶのは今しかないかもしれない。そんなときに仲間から声をかけてもらった偶然も重なって、畑を始めるタイミングが自然にやってきた感じです」。


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