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新生活を始めるにあたって、ふたりのスリッパを用意して使い始めたというSさんは、パートナーの男性がスリッパを履いたまま畳に上がる姿を見てびっくり仰天した。「畳ではスリッパは脱いでもらえない?」とSさんはパートナーに提案した。
しかし、「畳も床は床。なぜ、板の間で履いているものを、わざわざ畳に上がるときに脱がなければならないんだ?」と納得しなかった。「掃除の仕方だって、板の間と畳で変わるわけでもないじゃないか、と言われて。結局、私が彼を説得するだけの理由が見つからなくて、こちらが妥協することになりました」とSさんは言う。
しかし、長年畳ではスリッパを履かないものだと思い込んできた彼女は、どうしてもスリッパで畳に上がるのに抵抗がある。「だから、私自身は畳に上がるときはスリッパを脱いでいますが、彼がスリッパで畳に上がるのに文句を言うのはやめました」。
小さなことのようだが、日常の生活というのは、こうした小さな家事・習慣の積み重ねだ。そして、こうした家事のやり方の違いは、一緒に生活をしてみて初めて気づくことが多い。
何を汚いと感じるか、何をおかしいと感じるかは、育った環境や生活習慣に由来することも多く、ロジカルに理由がないことも多い。
だからこそ、家事をシェアする上で、妻からやり方について指示が出たときに、納得のいかない指示については、鵜吞みにせずに、どうしてそうする必要があるのか、軽く聞いてみることをおすすめしたい。
肝は「軽く」聞くことだ。詰問したり、相手を説き伏せようとするのではなく、まずは、「なんでそうなの?」と、聞いてみる。もちろん、納得のいく理由があれば、それを採用すればいい。

バスタオルは毎日洗わなくていい?

K氏は、妻に「バスタオルは毎日洗わなくていいから、ちゃんと広げてかけて、十分乾かして」と言われた。「独身の頃、僕は、毎日洗っていたんですけど」とK氏。
「ところが、妻は、「体を洗ってから拭いているんだから、汚くない」というんですよ。だから、二~三日に一回洗えばそれで十分なんだ、その代わり、ちゃんと干せということなんです。
最初、そう言われたとき、毎日タオルを洗っていた僕としては、そんなんで大丈夫なのかと思いましたけど。でも、言われてみれば、確かに洗った体だしな、みたいな。
バスタオルを一回使っただけで洗うなって言われるより、洗った体を拭いているからいらないと言われると、理にかなっているかなと」。以来、K家ではバスタオルは二~三日に一回の洗濯でOKが共通ルールになったという。


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