モテるための男性誌は数あるが、どうやらその特効薬はないようだ。
なぜなら、皆が本当にその手法でモテることができれば、雑誌は見事役目をまっとうし、無事終刊となるはずだからである。ということで、やはりモテたい思いは永遠に果てないものと観念するしかない。
が、その一助となる可能性を持つのが、このフレグランスだ。
いやいや、香りでモテるなんて容易くはないでしょう。……ですよね。それは、「モテ」を特には追求していないオーシャンズも十分理解しているのだが、このフレグランスが、フェロモンに似た構造の分子を配合していると聞いたらどうだろう。
紹介するのは、ブエノスアイレス生まれのフレグランスブランド、フエギア 1833からの一本。その名も「ムスカラ フェロ ジェイ」だ。
“フェロ”が意味するのは、まさにフェロモンのこと。アマゾンやアンデス地方の伝統医療に用いられていたという催淫効果をもつ植物へのリサーチを経て発見された、フェロモンに類似した分子構造を持つ「香らない分子」が採用されているのだ。
さて、フェロモンとは、学術的に定義されているのはご存じか。「ある個体から分泌され同種他個体において何らかの行動や生理作用を引き起こす化学物質」のことだという。これをキャッチするのが、フェロモン受容体である。この受容体が、見事キャッチしてくれれば……。このフェロモン類似物質がどう作用するのかは、神のみぞ知るところではある。
そして同時に、肌の持つ香り分子を吸着して揮発を促す効果のある成分が、香水を身に着ける人の魅力を引き出してくれるというのだから、面白い。擬似フェロモン作用と、個人によって異なる香りを生む2段構え。
自分ならではの芳香を手に入れて、ひとつ新たなる魅力を備えれば、モテへの道は開かれる、だろうか?そして表立って「モテ」を意識した行動は取らないオーシャンズな男にも、朗報ではないだろうか?
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 髙村将司=文