海に対するのと同じく、サーファーによるファッションに対するアプローチは多様だ。
スタイルの異なる男たちが打ち出す、それぞれの美学。今年、日本展開を開始したブランド「フォーマー」を例に見てみよう。
日本初上陸ブランド「フォーマー」の哲学
プロサーファーのデーン・レイノルズとクレイグ・アンダーソン、プロスケーターのオースティン・ジレット、ディラン・リーダーという世界に名だたる4人がフォーマーを創設したのは2016年のこと(ディランはブランド発足直後に白血病で亡くなっている)。
ビッグカンパニーのトッププロライダーだった彼らは、なぜ自らの手でブランドを立ち上げたのだろうか。その理由をデーンは次のように話す。
「大きなブランドの中では好きな服や映像作品のプロジェクトを提案しても形になりづらかった。やがて大企業のそんな部分に不満を感じるようになっていった。だから自分たちの手で始めたのさ。
フォーマーは僕らの個人的な好みを反映したユニークで本格的なブランド。自身がブランドを象徴する人物になり、サーフィンやスケートの映像作品を通じて、ただのファッションブランドにはない大きなストーリーを語りたい」。
彼らの方向性と同様、プロダクトデザインの根底に流れるテーマは一貫している。
クレイグいわく「スマートなシルエットと上品な色調で構成された、ファッションの最前線にありながらも反逆と不服従なメッセージを備えた生々しいパンクロックの美学」を持つ。
ブランドの日本展開の準備が進む中、日本を代表するフリーサーファーの大橋海人もメンバーに任命された。大きな話題となり、この春上陸した第一弾のアイテムは早くも品薄なことからも注目のほどがうかがえる。
インディペンデントな志とハイレベルなライディングスキルを同じく持つメンバーによる、唯一無二の輝きを放つフォーマー。
デーンが最近興味をそそられているという次のキーワードを見れば、彼らのアプローチがユニークなことが伝わるだろう。
「個性派サーファーのアンドリュー・ドヘニーがナンバーワンだとみんなが気付かないこと。ミッドレングスの一般化。NFT(非代替性トークン)。クリプトパンク。
いずれも興味があったら調べてほしい。僕らはこうした事象から、物事を生み出そうとしているんだ」。
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