象徴的なブランド・店舗の存在と客層の変化
編集部 ちなみに、この15年で客層に変化はありましたか?
荒川 オープン当初は比較的、年齢層が高かったんですが、今は少し若くなったかと思います。いわゆる、ニューファミリーと呼ばれる人たちが増えましたね。20代の頃に原宿・表参道で遊んでいた方々が、結婚して、お子さま連れで再び遊びに、散策に戻ってきている。そんな印象を感じます。
編集部 ニューファミリー層! オーシャンズには「街角パパラッチ」と題した看板特集があるんですが、取材班の間でも表参道ヒルズ付近は本当にお洒落なファミリーをスナップできると評判です。
荒川 象徴的なのは、機能性とファッション性などを兼ね備えたザ・ノース・フェイスさまではないでしょうか? この界隈に、メンズやギアだけでなくキッズもレディスも店舗が揃っている。環境問題も取り組んでいらっしゃる。いつの時代もこのブランドが大好きな人たちが、表参道ヒルズでもたくさんお買い物をしてくださっていると感じています。
編集部 確かに、15年前よりも、街を歩く“流れ”ができている気がします。
荒川 個人的には、表参道ヒルズの向かいにある商業施設ジャイルの存在も大きいと思っています。CDGやメゾン マルジェラなどの感度の高いお店や、そしてHAYTOKYOなども入居され、アートカルチャーの提案施設があることでの相乗効果は大きいはずです。
15年の歴史で最も印象深いこと
編集部 荒川さんにとって、この15年で最も印象深い取り組みは何でしょう?
荒川 2009年に実現した、表参道のケヤキ並木イルミネーションの復活です。皆さまとともに協力して実現できたことが今でも誇りです。当時の表参道ヒルズで働いていた社員が本当に頑張ったんです。
編集部 当時、11年ぶりの復活としてニュースになりましたね!
荒川 電飾はケヤキの木を傷めるのでは?という声に対して学術的に影響がないことを証明したり、本当にたくさんの課題をクリアしてこぎつけた復活でした。当時は明治神宮入口から青山通りまでの約1kmに並ぶ約140本のケヤキに、63万個のLEDを点灯しました。
編集部 となると、開業からわずか3年でその偉業を達成したんですね!
荒川 はい。以来、毎年続いています。いつも準備は本当に大変ですが、最高のご褒美はテスト点灯。真夜中に歩道橋の上から見る、パーーッ!とライトアップされる瞬間はもう言葉にできません。その瞬間を見るたびに、この仕事をやっていてよかったなと思います。
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