「ナイキ名作スニーカー列伝」とは……スニーカー業界にとって不遇の時代だった2000年代を乗り越え、
「エア マックス」は今、かつてないほどの存在感を放つ。
偉大な功績を残し続けるランニングシューズは、この先どこへ向かうのか。3つのテーマから、その現在地を探ろう。
テクノロジーのMAX値を“AIRの上を走って”体感を
2021年現在、エア マックスシリーズは驚くほどの進化を遂げている。なかでも2017年に発表された「エア ヴェイパー マックス」が披露したパフォーマンスは別格だろう。
「空気(AIR)の上を走る」という斬新なコンセプトを具現化したこのシューズ。発案から販売開始まで、7年を要した大作である。開発の指揮を執ったのは、若き2人の天才デザイナー、南 哲也とザカリー・エルダーだ。
これまでのエア マックスはソールにできる限り多くのエアを入れる設計だったが、これに対してエア ヴェイパー マックスは、エアの量を減らし、それをより効率良く使うことに力を注いだ。
彼らは足のプレッシャーマップを用いてランナーのストライドをサポートするために必要なエアの量と、その配置を正確に特定。このテクノロジーをベースに生まれたのが、小さなピストンのように機能するソールのトレッドパターンである。
インラインでの発売に先駆けて、コム デ ギャルソンとのコラボレーションでデビューを飾った。
このことからもエア ヴェイパー マックスにかける、ナイキの期待度がうかがえる。今では多くの派生モデルが登場し、存在感を高め続けている。
“諦めずに挑戦し続ける”というエア マックスの進化の原動力は、いつの時代も変わらない。
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