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Images by John Hook5年前、スティーブン・キーンさんは、オアフ島のノースショア沿いを車で走りながら午後のサーフブレイクを探していた。「Vans トリプルクラウン・オブ・サーフィン」の会場付近を通り過ぎたとき、若さに溢れ、ややナイーブな青年は、このサーフィン大会のオフィシャル・アーティストになることを空想した。
自分の作品がフライヤーや看板、もしかしたらTシャツに起用されたら、と。友達の強い勧めで、自分の作品を応募してみたが落選。彼は気にも留めず、いつの日かかなったらいいなと思った。
子供の頃からアートに親しんでいたキーンさん。アート以外では、ずっとサーフィンに夢中だった。兄弟がサーフボードを買ってきたことをきっかけに、キーンさんは10代でサーフィンに出会うとすっかり魅了され、週末のたびに出身地のペンシルバニア州の海岸に繰り出して波に乗った。
27歳のときにトリプルクラウンを知り、オーストラリアに3カ月だけと決めて飛び出した。そして、オーストラリア東海岸のゴールドコーストをサーフィンで攻めながら、陸では水彩画のレッスンを受けたのである。
人生を180度変える旅というものがあるが、この旅はキーンさんにとってそんな出来事になった。やがて、ニュージャージー州の高校の美術教師という職を投げ打ち、その代わりにハワイの青い空、温かい気候、そしてもっといい波を手にした。

ハワイ大学マノア校で自主研究をしていた頃、木版画を始めた。木の板に細密な図案を彫っていく版画技法である。海がキーンさんのミューズとなった。彼のポートフォリオはカールする波、空まで届く大波など、さまざまな波を描いたものばかり。完成まで何百回もの筋彫りを重ね、刀痕をつけていく作品が並ぶ。
たいてい1週間ほどで、木の板からひとつの図案を彫り上げる。次に、木版にインクを載せ、布または紙に丁寧に転写する。こうして日本の浮世絵を思わせる作品が完成するのだ。強い線で立ち上がる波の曲線が鮮やかに描き出されている。

最近のキーンさんは、成功の波にも乗っているようだ。個展も開いたし、一度は諦めた夢にも手が届いた。そう、「トリプルクラウン」のうちの2番目のイベントである、「Vans ワールドカップ」の2017年オフィシャル・アーティストに選ばれたのだ。
サンセットビーチのポスターからも、リビングの壁に飾られた作品からも、キーンさんの木版画はエネルギーと生命力を感じさせる。彫り出されたひと筋ひと筋から、個々の波から伝わってくるはずだ。
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写真=ジョン・フック 文=ユーニカ・エスカランテ 翻訳=上林香織
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