“質のいいスウェット”として真っ先に名前の挙がるのがループウィラーだろう。
その着心地は素晴らしく、洗濯を繰り返してもヘタリにくく、一定の柔らかさを保ったまま。実に不思議だ。
そもそも世の中には2種類のスウェットがある。1960年代中頃まで主流だった“吊り編み機”で編まれたものと、それ以降の主流である“シンカー編み機”で編まれたものだ。
最大の違いは生地を編むスピード。前者は1時間に1mほどの生産量でゆっくり編まれるのに対し、後者はその何十倍のスピードで編まれるため、生産性は高いものの糸にテンションがかかる。
吊り編み機は糸に余計なテンションをかけず、編み上がった生地も強制的に巻き取りをしない。だからふっくら嵩高、ソフトかつタフなスウェット地に仕上がるのである。
今から約20年前、ほぼ完全に廃れていたこの吊り編みに目をつけてブランド名に掲げ、再評価の機運を生んだのがループウィラーである。だからこそ各界からコラボレーションのオファーが絶えないというわけだ。
なるほど納得、知って着ればそのありがたみたるや。
竹内一将(STUH)=写真 松平浩市、中北健太=スタイリング 安部 毅、礒村真介(100miler)=文