「Camp Gear Note」とは……春休みや大型連休を前に、手持ちの道具を見直したり、新調したりする方は多いだろう。生活雑貨や食料など、昨今は国産の魅力が見直されつつあるが、アウトドアギアも例外ではない。
国産の道具というと、品質は高いもののお値段が可愛くない工芸品のようなものを思い浮かべるかもしれない。しかし、国産ならではの高い品質はそのままに、価格も抑えるという難題をクリアするブランドがいくつか存在する。
新潟県燕市を拠点とする「ユニフレーム」も、そんな稀少な国産ブランドのひとつである。
日本人のための道具は日本人が作る
ユニフレームが創業した1985年と聞いて、上越新幹線が上野駅に初めて乗り入れた年と思い出せる人は生粋の新潟県民だろう。新潟県民にとってこの出来事は大きく、新潟県全域で首都圏との商売が活性化した記念すべき年となった。今でも燕三条駅前に数多くのビジネスホテルが立ち並ぶのは、この年からなのだそうだ。
ユニフレームの母体となる会社、新越ワークスも例外ではなかった。それまで金属製のザルを主に扱ってきたが、2代目(現社長)が先代と同じことをしてはつまらないと立ち上げたのが「ユニフレーム」だった。
ブランド名は、「ユニークな炎(フレーム)を創造する」という理念から名付けられたもの。製品化第一号は、工芸用のカセットボンベ式トーチだった。
トーチの延長で、ワカサギ釣り用のヒーターや2バーナーもスタート。当時、キャンプ用の2バーナーといえば汁受けのない製品しかなかったため、汁受けを設けたモデルを作ったそうだ。
‘90年代のキャンプブームでは、誰もがパジェロなど4WD車を使うためにキャンプ場に向かった。いわゆるアメリカのオートキャンプ的スタイルが人気を集める中、ユニフレームはコンパクトに収納できるガスランタンやグリル台、コーヒードリッパーなどを次々と開発。日本製らしい細やかなアイデアが光る商品がヒットし、徐々に市民権を得ていった。
「当時の日本のキャンプは、アメリカのオートキャンプというよりも花見の延長に近い感覚でした。日本のキャンプ文化は独特なので、我々は『日本人の道具は日本人が作る』ということを意識していました」とは、ユニフレームの横田さん。
アメリカのオートキャンプ文化から生まれた道具を、そのまま日本のキャンプシーンに持ってきても使いにくいものが多かったため、日本人が使いやすいことを念頭に作り変えたのだそう。そりゃ、使いやすいわけだ。
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