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品質、価格、供給が3本柱

ユニフレーム
火器や金属製品が得意だが、タープやファニチャーのラインナップも幅広い。
しかし、良い時代がずっと続いたわけではない。
‘90年代後半になるとキャンプブームが去り、アウトドア業界は長い低迷期を迎える。当時は何を作っても売れず、ブランドとして迷走したこともあったが、地道な製品作りを止めることはなかった。
今も昔も、彼らは「品質」「価格」「供給」の3本柱を掲げて製品作りに取り組んできた。
一般的な製品はデザインありきで作られることが多い。しかし、ユニフレームでは上記の3つの柱を踏まえたうえで、実現したい機能を考えることから製品作りがスタートする。
その機能を実現するために試作を繰り返して形になってから、最終的にデザイン的な要素をプラスして製品化にいたるという段階を踏んでいる。
ユニフレーム
現在も人気のスライドガスランタンが生まれたのは1981年。機能の追求から生まれた美しいデザイン。
デザインを最優先してしまうと、機能や価格、品質を犠牲にしなくてはいけない場面も出てくる。そのため、彼らのものづくりは機能面を第一に考えて進められることが多い。
この姿勢を貫き、不遇な時代に生み出されたグリル台「ユニセラ」やマルチクッキングセット「fan5DX」、焚き火台の名作「ファイアグリル」などは、現在も人気が衰えないロングセラーとなった。
ユニフレーム
ユニフレームを代表する製品「ファイアグリル」も、冬の時代に生まれた製品のひとつ。
ユニフレームの姿勢が分かりやすく現れた製品といえば、1998年の発売以来、今も形が変わらないファイアグリルだろう。
当時の焚き火台といえば、頑丈で曲がらないことを売りにしたものが多く、どれも重くて扱いにくいものだった。そこで「軽量で使いやすい焚き火台」として作られたのが、この焚き火台だ。
変な力をかけるとフレームは曲がってしまうほど薄い。しかし、曲がることを前提に力を受け流す設計がされている。アイデア次第で、軽くても頑丈なものを作れるという発想の転換が広く受け入れられ、今では一番人気の商品となっている。
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工芸品ではなく工業製品を作る

ユニフレーム
アウトドアブランドは数あれど、良いものを安く大量に作ることができるのはひと握りだ。
ちなみに、ユニフレームのスタッフは、自社製品のことを「工業製品」と評することが印象的だ。これは、良いものを安く大量に作ることができることに誇りを持っているから。しかも国内生産での話だから恐れ入る。
「良いものを安く大量に作るために、我々は金型や加工機に投資をしております。構造や加工方法はそのために選んでいるので、シンプルな造りで特殊な素材も使っていません。壊れにくく、長持ちするのにはシンプルな構造のほうがいいのです」。
ユニフレーム
近年はフィールドでも自宅でも併用できるラインナップが拡充中。ガス台でも使える羽釜は最近のヒット作。
そう聞いてカタログを開くと15~20年クラスのヒット商品が多いことに気が付く。素材や技術の進化による新しいアイデアはもちろん取り入れているが、昔も今も根本的に売れるもの、求められるものは変わっていないそうだ。
つまり、20年後もきっとあなたが必要とする道具は変わらないはず。この春にギアを見直すならば、20年後の自分を想像して選んでみよう。
あなたはデザインで選ぶ? それとも機能で選ぶ?
ユニフレーム
[問い合わせ]
新越ワークス ユニフレーム事業部
03-3264-8311
www.uniflame.co.jp
「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。 上に戻る
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池田 圭=取材・文 矢島慎一=写真

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