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「失敗」を越えていけ


仕事に失敗はつきものだ。そう頭では分かっていても、つい失敗した自分を責め、落ち込んでしまうこともある。
偉人たちの成功も、たくさんの失敗や挫折の経験があったからこそのものだ。苦境を好機に変えてきた彼らの言葉には説得力がある。
4. 10本連続でシュートを外しても僕はためらわない。次の1本が成功すれば、それは100本連続で成功する最初の1本かもしれないだろう(マイケル・ジョーダン)
NBAの歴史に残る名プレイヤーになったマイケル・ジョーダ(GettyImages)
NBAの歴史に残る快挙を次々に成し遂げ、「バスケットボールの神様」とも評されるスーパースター。ジャンプの滞空時間が長く、まるで飛んでいるかのように見えるプレイスタイルからついた愛称『エアジョーダン(Air Jordan)』は、ナイキの人気シューズの名称にもなった。
持ち前の負けず嫌いな性格と、常に前を向くポジティブさでトッププレイヤーに登り詰めたジョーダン。そんな彼の逆境に負けない強さが感じられる。
 
5. 現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う(立川談志)
昭和を代表する落語家、立川談志。破天荒な言動で周囲を驚かせつつも、古典芸能を現代の価値観で表現し直そうと尽力し続けたことから「風雲児」「反逆児」とも呼ばれた。
この言葉は、談志の弟子である立川談春がエッセイ「赤めだか」で、嫉妬に燃える自分を諭したエピソードとして紹介している。つい自分の失敗から目をそらしたくなるのが人の性。談志の言葉は、そんな人間の弱さを一蹴してくれる。
 
6. そのうち自然といい方を選ぶようになっていくわよ。最初からうまくやろうなんて自惚れてるんじゃないわよ(リトルミイ)
フィンランド生まれの物語『ムーミン・シリーズ』に登場する小さくても勇敢な女の子・リトルミイ。今や世界的に有名な同シリーズだが、原作者のトーベ・ヤンソンが1945年に出版した第1作目は全く売れずに絶版。それでも続編を書き続け、第3作目が大ヒットしたことでヤンソンは一躍有名な児童文学作家となったという。
最初からうまくできる人なんていない──そんなヤンソン自身の経験が、リトルミイの鋭くも前向きな言葉に込められているのかもしれない。
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肩の力を抜いて「休息」を

慣れない環境で日々仕事に打ち込んでいると、知らず知らずの間に疲れは溜まる。今こそ頑張りどきだ、と自分を追い込みすぎてしまいがちではないだろうか。
常に全速力でいるように見える偉人たちも、一息ついてリフレッシュする大切さを伝えている。
7. 嫌いなことをムリしてやったって仕方がないだろう。私は不得手なことは一切やらず、得意なことだけをやるようにしている(本田宗一郎)
修理工場から一代で、「世界のホンダ」を築き上げた創業者・本田宗一郎。そんな彼も、ホンダ創業前に専務を務めていた会社の工場が地震により倒壊したことをきっかけに、「人間休業」と称し1年間全く仕事をしなかったことがあったという。
休養を終えた後にホンダの前身となる会社を創業し、以降愛してやまない機械作業やモータースポーツに向き合い続けた本田らしい一言だ。
8. おごらず、人と比べず、面白がって平気に生きなさい(樹木希林)
夫・内田裕也との夫婦生活の経験をもとにした名言も多く残した女優の樹木希林(GettyImages)
自然体でありながら圧倒的な存在感のある演技で人々を魅了し、2018年に惜しまれつつ亡くなった名女優。晩年は、闘病生活の中で生死について多くの名言を残した。この言葉は、実娘・内田也哉子さんが葬儀の挨拶で「いつか母に言われた言葉」として紹介したものだ。
周りと比べて焦り、落ち込むのではなく、自分のペースを楽しんで生きる。そんな謙虚でありユーモアに富んだ彼女の生き方はとても魅力的だ。
 
9. いっしょうけんめいのんびりしよう(野比のび太)
勉強もスポーツもまるでダメ。不朽の名作『ドラえもん』に登場する、何をしても冴えないけれど心優しい小学生・のび太のセリフに笑わされ、励まされた人は多いだろう。
のび太は作者の藤子・F・不二雄が自身をモデルにしたキャラクターだという。大人気漫画家となった彼も、のび太のようにときに怠けながらも少しずつ成長していったのかもしれない。

常に「楽しんで」働く

何かと大変なことは多いけれど、やはり自分で選んだ仕事を思い切り楽しみたい。
今回紹介した偉人たちも、バックグラウンドはそれぞれ違っていても、「仕事を愛している」ことは共通している。
10. やりがいを感じることができるただ一つの方法は、すばらしい仕事だと心底思えることをやることです。そして偉大なことをやり抜くただ一つの道は、仕事を愛することでしょう。(スティーブ・ジョブズ)
お決まりのファッションや人々を惹きつけるスピーチ力など、スティーブ・ジョブズの影響力は多岐にわたる(GettyImages)
アップルでは『Mac』や『iPhone』シリーズ、ピクサー・アニメーション・スタジオでは世界初のフルCGアニメ『トイ・ストーリー』などを生み出し、文字通り世界を変えた実業家スティーブ・ジョブズ。彼が残した名言のなかでも、特に有名なスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの一部だ。
自身で設立したアップルからクビになり、その後立ち上げた事業がなかなか軌道に乗らない時期もあった。それでも仕事を愛し、やりがいを見出し続けたことで成功をつかんだ彼の言葉は、死後10年経つ今でも心に強く響く。
誰でも最初は初心者だ。挑戦や失敗を繰り返し、ときに休息を挟みつつ、精一杯仕事を楽しむ。そうしていれば、いつか必ず何かを成し遂げることができるはず──。ぜひ偉人たちの名言を糧に新たな挑戦に一歩を踏み出し、思い切り突き抜けて欲しい。
 
大竹初奈、石塚有紗=文 松崎美和子=編集
記事提供=Forbes JAPAN

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