荷物を入れるバッグ自体が軽いに越したことはない。その思いは多くのブランドに共通しており、ボディの軽量化に余念がない。
ワンマイルバッグは軽いことこそ正義。と、話を終わらせるのは簡単だけれど、「軽さ」について、さらに一歩深く考えている人もいるのだ。
例えば、長年にわたりり数々の名品と呼ばれる鞄を世に送りだしてきた、吉田克幸さんが主宰するポータークラシックの「ニュートンバッグ」。
「このカバンはその克さんの息子で現代表の玲雄さんが、“ムアツ”という素材に出会ったのがきっかけ。医療用マットレスなどに使われる最高級のウレタンで、その性能に感動したことから、バッグに活かせないかと思い立ち開発が始まりました」。
そう語るのは、PRを務める河内直哉さん。訊けば、実際の製品化までには3年もの歳月を要したという。
「ムアツで体にかかる負荷を軽減するという発想まではすぐにたどりついたのですが、そこからが難航したようです。特にショルダーストラッ プを包む生地選びが難しく、 職人さんに何度も繰り返し挑戦していただいて完成したと聞いています」。
困難を乗り越えて完成したデイパック。PCだ、書類だとたくさん荷物を詰め込んでも、背負うと不思議と荷物が軽く感じ、肩も疲れない。
「克さんは完成品を初めて背負った瞬間、『これで俺は死ねる』と言ったそうです(笑)」。
それくらいカバン人生の中でも集大成に近い仕上がりになったということ。まさに天にも昇る軽さ、というのは言いすぎかもしれないが、バッグがある種の高みへと到達したことはきっと間違いない。
まだまだあります!究極に軽いワンマイルバッグ「エンジニアド ガーメンツ」ファッションブランドもバッグの軽量化をとことん追求している模様。トート、ショルダー、バックパックとして使えるこちらはリップストップナイロン製。「ウルトラライト」とモデル名にあるとおりの軽さ! 少しの荷物のために、重いバッグなんていらないから。
※バッグのサイズは編集部調べ芹澤信次=写真 来田拓也、星 光彦=スタイリング 亀田 雅=ヘアメイク 加瀬友重、今野 壘=文