地球に優しい農業で成り立つ道を模索する
森山さんには、農業をやるために5年ほど前から目をつけていた温室ハウス付きの農場があった。いよいよ農業を始めようというとき、持ち主であるいちご農園の会長さんに思いきって直談判をして借りることができた。
今ではすっかり整った農場だが、当時は背丈くらいの雑草が足を踏み入れられないほど生い茂っていたという。
「賃料は月20万円。これをきれいにして、さらに20万円払うのかよって思った(笑)」。
会長さんから「とりあえず刈れ」「刈ったら耕運機を貸すから耕せ」「時間がないからあそこに植えろ」という矢継ぎ早の指示が飛び、メンバーで力を合わせてそのとおりにこなしていると、農薬を撒かずとも夏には初めて育てた野菜を収穫できた。
「季節のものを育てればほとんど虫はつかないんです。虫が多い夏の野菜でもまったくやられなかった。なすもピーマンもオクラもモロヘイヤも」。
ただ、うどんこ病(葉の表面に白いカビが生える病気)にかかってしまう農作物も。そのような病気を防ぐ秘密は「堆肥」にあることを知る。
「肥料は根っこから植物に力を与えるもの。土に力を与えるのが堆肥です。土が元気なら病気になりにくいし、虫にも強くなります。すると野菜自身の免疫力も上がるからパワーがある。それを食べれば、もちろんカラダにいい」。
日々自然から学びがあり、やればやるほど奥深い農業にサーフィンと通ずるものを感じているというザ・ファーマーズのメンバーたち。森山さんは将来のビジョンを次のように話した。
「畑にカフェを併設して、コーヒーや自分たちが作った野菜のコールドプレスジュースを提供したいです。さらにキャンプ場も付いていて宿泊ができ、いろんな体験ができる場所にしたい。会長の家はこの土地で29代続いている農家さん。でも跡取りがいなくて。もしかしたら、俺たちが30代目になるのかな……」。
楽しみながら、海と大地、そして地域コミュニティとの健康的な共生を目指す。そんな彼らの農に取り組む姿勢は、日本中の海辺の町を盛り上げることにつながるかもしれない。
ザ・ファーマーズのポジティブな挑戦はまだ始まったばかりだ。
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