MP3プレーヤーを複数台所有し、気分で選ぶ
普通の人が寝静まった時間帯に駒沢公園を走るのが、小林さんのルーティン。夜の空気の中を、その時々の気分に合わせた音楽を聴きながらナイトクルージングしている。
「イヤホンは、今はシュアの有線のものを使っています。いろいろなタイプを試してきたのですが、自分の耳の形にフィットするのか、これだと落っこちてきません。
音もクリアで、ズバンズバンとしっかり鳴る。ワッチキャップの季節であれば、イヤホンをした耳の上から蓋をするようにかぶります」。
小林さんがユニークなのは、MP3プレーヤーを複数所有しているところ。プレーヤーは中に入れている音楽で分かれており、4つ打ちのテクノの日もあれば、レアグルーヴ系の日もあり、と気分によって携行するプレーヤーごと変えている。
「いちいち音源を移し替えたりするのが面倒くさいだけなんですけどね。最近の気分は、ロックバンドのT・レックスがまだティラノザウルス・レックス名義で活動していたころのアルバム。
ヒッピーっぽいサイケデリックなフォークで、これがまた夜のパークランにマッチするんです」。
時計の類も使用せず、「自分の中での定番コースが決まっているので、帰ってくるまでの時間も読めちゃいますから」と、MP3プレーヤーの件よろしく、良い意味で大雑把だ。
あえて人があまり走っていない、真夜中の駒沢公園を走る。人と違うから面白いし、気分がアガる。そんな小林さんのランニングギア選びは、奇をてらったものこそないものの、やはりデザイナーらしいこだわりが貫かれている。
楽しく、長く走り続けたいなら自分がハイになれるスタイルで。簡単なようで、とっても大切な真理なのかもしれない。
RUNNER’S FILE 30 氏名:小林 学 年齢:54歳(1966年生まれ) 仕事:スロウガン代表 走る頻度:週2~3回。平日であれば深夜に、10kmほど 記録:レースへの参加は特になし |
連載「Running Up-Date」一覧へ「Running Up-Date」ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。
上に戻る 礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真