しっかりと燃やし尽くせば片付けが楽になる
ここまで燃やし切ればあと一歩。トングで炭を細かく割るとより早く燃え尽きる。焚き火の後片付けは面倒に思われがちだが、きっちりと真っ白な灰になるまで燃やし尽くせば、案外手間はかからない。燃え切った薪や炭は水をかけなくても勝手に火が落ち着いていく。残った灰をバケツやゴミ袋に移し、要らない布で焚火台を拭けば片付けは終了だ。
片付け終わりたい時間の2時間前を目安に、新しい薪や炭を足さないようにしよう。
長時間燃やせる高級な炭は、一旦消化してから乾かせば次にまた使える。どうしても途中で消さねばならない場合は、水を貯めたバケツに薪や炭を浸して消化する。言うまでもないが、熱々の焚き火台に直接水をかけてはいけない。熱い水しぶきや湯気が上がり、非常に危険だからだ。焚き火台が変形したり、破損する原因にもなってしまう。
消化後の炭は火が消えていることを確認し、キャンプ場のルールに従って処理する。昔は地面に埋めておけば炭は自然に返るだとか、肥料になるだとか言われたものだが、キャンパーの数に自然の処理速度は到底追いつかないので絶対に埋めてはいけない。
消化用のスプレーも一本常備しておくと便利。これは太めの水鉄砲のような液体が出るタイプ。ピンポイントで狙いやすい。いろいろなルールを申し上げたが、焚き火のマナーはいたってシンプルだ。
お家キャンプが浸透した今、自宅で同じことをするかしないかを基準に考えてもらえれば分かりやすいだろう。庭の芝生の上でバンバン焚き火をするだろうか。燃え残りは庭の角になら埋めてもいいやと思うのだろうか。 何も難しいことはない。
当たり前のことを当たり前に想像して楽しむ。そうすれば、自然とフィールドは美しく保たれるに違いない。

「Camp Gear Note」90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。
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