冬物があれば夏物がある。アパレルブランドなら当たり前のこと。昨今はスノーボードブランドでもオフシーズンの商材を展開している。
しかしこれが“町”となれば簡単にはいかない。海辺の町は夏の賑わいを生み出せるものの冬は閑散としてしまう。海ではないほかの何かに冬の賑わいを創出できる資源があるか? 答えを見つけ難い問いだが、見いだせれば年間を通して人は循環していく。
その様子は長野県の大町市が参考になる。
大町市の場合、冬は白馬への入り口となる。北アルプスの麓にある白馬には八方尾根や栂池などのスキーリゾートが数多く、上質な雪や起伏に富む地形の面白さを求める外国人にも人気が高い。そして冬が終わると大町市には白馬への登山客や、立山黒部アルペンルートを目指す人がやってくる。
湖でのキャンプや温泉もあるなど、数多の楽しみ方は自然豊かな土地柄ならではのもの。目的の異なる客人の交差点として機能しているのである。
memo信濃大町の呼称で愛される大町市は長野県北西部に位置。西は富山県、北は白馬村と隣接し、標高3000m級の山々が連なる北アルプスへの入り口になっている。また仁科三湖(木崎湖、中綱湖、青木湖)にはSUP、釣り、カヌーといったウォータースポーツ、キャンプを楽しむ人が集う。
写真は上が白馬村から眺める早朝の北アルプス。中央にそびえる高い山は五竜岳。下は霧のかかった木崎湖を眼下に子熊山から朝日を眺めた様子。
遠藤 励=写真 小山内 隆=編集・文