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ボードシェイピングを受け継ぐ孫娘

ストーン家で、次にサーフィンとボードシェイピングの伝統を受け継ぐ者はサバンナかもしれない。
サバンナが使っているキコオは、代々伝わる価値ある特別なもので、68歳の祖父が初めて手掛けた木製サーフボードのひとつだ。サバンナの父と兄であるジョシュ&ハーレー・ストーンはプロのウインドサーファーで、大海原の家族で長を務めているのがトムだ。
古来より伝わるハワイのサーフボードは、小回りの利くアライア(ショートボード)やゆったりとしたサイズのオロ(ロングボード)など10種類の形状から成り、13世紀にタヒチからの入植者がハワイに板材を持ち込んだことをきっかけに、約800年の伝統を築いてきた。そのことを考えると、これらは決してありふれたものとは言えないだろう。
サーフィンの古代の歴史は時間とともに忘れ去られ、20世紀になって流体力学をより考慮した形状や素材が使われるようになった。そのため、トムはサーフボードの形を記録しておくことで、先祖がそうしてきたように、波乗りを通じて新しい世代のサーファーたちをサーフィンというスポーツと密接に結びつけている。
「木彫りのサーフボードは、水中にしっくりと馴染んでいます」とサバンナは語る。「まるで、もともとそこにあるような感じだわ」。
ふたりはかつて、定期的に海に出てサーフィンをしていたが、今ではたまにしか出かけない。ワイマナロに住むサバンナは、学校やサーフィンの大会で忙しい。サバンナから親しみを込めて「パパ」と呼ばれるトムは、ハワイ大学マノア校でサーフィンの儀式に関する博士論文を書き上げているところだ。だが、このふたりにとって、夜明けにときどき海に出ることが何よりも意義深い。なぜなら、海は家族の遺産が形作られる場所であり、波が生まれ、波に乗り、転倒するということが同時に起こる場所だからだ。
ストーン家で、次にサーフィンとボードシェイピングの伝統を受け継ぐ者はサバンナかもしれない。
「世代はひとつ飛んでいるけど、父が私に教えてくれたように、私は愛をもって孫に教えている」とトム。


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